ロンドンのフラムに2022年1月にオープンした充電ステーション「シェル・リチャージ」。
Stephen Jones
- 石油大手シェルがガソリンスタンドの1つをEV専用の充電ステーションに改造した。
- そこは9基の充電設備、コンビニ、コーヒーショップ、無料Wi-Fiを備えている。
- シェルによると、古いガソリンスタンドをこのように改造するのは初めてだという。
イギリス、ロンドンのフラムロードに古くからあるシェル(Shell)のガソリンスタンドでは、もはやガソリン車が給油することはない。
かつてはありふれたガソリンスタンドだったが、今ではまったく違うものになっている。シェルは、ここを電気自動車(EV)専用の充電ステーションに改造したのだ。
この「シェル・リチャージ・ステーション」は2022年1月にオープンした。シェルによると、既存のガソリンスタンドをEV専用の充電ステーションに改造したのは初めてのことだという。
EVに対する需要は高いが、充電インフラの整備は追い付いていない。イギリスの自動車業界団体であるSociety of Motor Manufacturers and Tradersによると、2021年にイギリスで新たに登録されたEVは約19万台だった。一方で、イギリス政府が引用したZapMapのデータによると、同国のEV充電設備は約2万9000基にしかないという。
このミスマッチがEVの普及を妨げ、2030年までにガソリンを燃料とする新車の販売を段階的に廃止するという政府の目標達成を困難にしていると関係者は指摘している。アメリカのジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、同じく2030年までに国内の新車販売台数の半分をEVにしたいと考えている。
そこで、シェルをはじめとする多くの企業が、EVの需要に対応するための投資を進めている。
フラムにあったシェルのガソリンスタンドは、ごくありふれたものだった
2020年10月に取得されたグーグルストリートビューのキャプチャー画像。
Screen shot/ Google Maps
今では、ソーラーパネルをはめ込んだ木製の屋根が、新たに設置されている
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デジタルサイネージに、何番の充電設備が空いているのかが表示される
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別のサイネージには、ガソリン車向けに最寄りのガソリンスタンドへの案内が表示されている
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EV専用の充電設備であることが分かりやすく表示されている
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敷地内にはコスタコーヒーの他、高級スーパー「ウェイトローズ」のコンビニ形態の店舗が出店しており、無料Wi-Fiも利用できる
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シェル・リチャージには、175kWの急速充電設備9基と、2台の駐車スペースがある。利用者は充電を待つ間に無料Wi-Fiを利用したり、コーヒーを飲んだり、買い物をしたりできる。
いくつかの充電設備は使用中だった
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レンタルしたルノー ゾエEテック(Renault Zoe E-Tech)を充電しながらコーヒーを飲んでいたレベッカは、シェル・リチャージの使い方は簡単だと、Insiderに語った。
彼女は「プラグを差し込むだけで、誰でも簡単にできる」と言うものの、やはりガソリン車の給油ほど素早くはできないと認めた。
レベッカの車はほぼ0%の状態から充電を始めて、約14分後に38%になった。
「時間を計画的に使う必要がある」と彼女は言う。しかし、イギリスの燃料価格が過去最高となる中、「わざわざ余計なお金をかけることもないだろう」と付け加えた。
充電料金は約8ポンド(約1250円)になるだろうと彼女は話してくれた。
利用者は、シェル・リチャージのアプリやカード、非接触型決済、またはQRコードを使って充電料金を支払う。1kWhあたり0.49ポンド(約77円)だ
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利用者は、充電の進捗状況を常に確認できる
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シェルは、2025年までにイギリス全土に5万基のEV充電設備を設置したいと述べている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)