リーダーは、自分の無意識の偏見と向き合い、積極的にアンラーニングを行う必要がある。
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- ダイバーシティとインクルージョン(D&I)は、疎外されている人々のためのものだが、彼らの声を代表するものではないという意見もある。
- この分野の専門家、シェリー・コールドウェルは、人々はしばしばD&Iとビジネスの成果との関連性を理解していないと述べている。
- 従業員と率直に話し合い、彼らについて学ぶことは、無意識の偏見を是正する一つの方法だ。
ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)(D&I)は常に組織の優先事項であるべきだが、ブラックライブスマター運動をきっかけに、関連するデータや政策に広く関心が集まるようになった。
The Unmistakablesはロンドンにあるコンサルティング会社で、組織のD&Iに関して、エビデンスに基づく見識づくりを支援している。同社が2021年に実施した調査によると、D&Iが支援すべき人々は、対話から排除されていると感じている人々である可能性が高いことが判明した。
D&Iの目的は、組織が多様な人材で構成されていることを確認し、すべての従業員が尊重され、受け入れられ、支援され、評価されていると感じられる環境を醸成することだ。
DE&Iも同様だが、エクイティ(公平性)にも焦点を当てている。これには制度やシステムの手順とプロセスにおける正義と公平性の向上が含まれている。
DE&Iの専門家であるシェリー・コールドウェル(Cherie Caldwell)はInsiderに対し、 「多様性には視点、価値観、信念、経験の違いが含まれるので、確認や確立なしに人々が共通の定義を持っていると仮定することは、多様性の意味を無視している」 と語った。
コールドウェルはセールス・エンゲージメント・プラットフォームのSalesloftに勤務している。彼女が見たところ、人々はD&Iとビジネスの成果との関連性を理解していないという。
しかし、コールドウェルは、組織がD&Iのメリットを見出さないことを理解するのに苦労していた。
「生産性と収益性がイノベーションと創造性を促進し、それがより良い問題解決能力と指数関数的な成果の向上につながる。なぜそれを誰もやらないのか」
強迫性障害を持つライターのニーナ・ホワイト(Nina White)は、D&Iの対話から排除されていると感じているとInsiderに語った。
「何を必要としているか、決めてかかっている。そして、障害者や精神疾患を持つ人のような、軽んじられていると感じている人々との対話はほとんどない。企業や組織は、ある一定の条件を満たそうとしているだけに感じられる」
プロフェッショナル・サービス・ネットワークのPwCは、47カ国の経営者、人事担当者、D&I推進者、従業員を対象に調査を実施した。その結果、従業員はより包括的な文化を創造するために行われている取り組みに気づいていないことが分かった。調査によると、D&Iに関する経営陣の取り組みは、80%が基本的なレベルか初期レベルにとどまっている。
PwCの調査報告書は次のように指摘している。
「近年、多様性、包括性、公平性に対する企業の投資が広がっているにもかかわらず、黒人またはアフリカ系アメリカ人労働者のD&Iへの所感が著しく少ないというこのパターンは、2019年以降、悪化している」
研究者であり作家でもあるパール・カシリエ(Pearl Kasirye)は、パフォーマティブ(行為遂行的)な多様性を見出す方法を研究している。彼女はInsiderに、周縁に置かれた人々が自分自身を表現することを許される必要があると述べた。
「ダイバーシティとインクルージョンは、企業が今も昔も使いたがるバズワードだが、多様性を擁護するために職場でどのように包括的なポリシーを実行するかを明確に理解している人はほとんどいない」と彼女は述べている。
コールドウェルとカシリエによる、組織を改善する3つの方法を紹介しよう。
従業員が参加する制度を導入する
従業員に対し、会社の良いところ、改善すべきところ、自分にとって大切なことなど、率直な意見を求める。そうすることで、組織が改善されるだけでなく、従業員にもそれが優先事項であることが伝わる。
コールドウェルは、リーダーは無意識の偏見と向き合い、積極的に学習する必要があると述べている。
「そのような会話の仕方を知らないから、より多くの間違いを犯すことになり、結果的に会話を封印してしまうのだ」
D&Iファシリテーターを置く
インクルーシブポリシーの遵守を担当するチームを設置し、偏見を持った従業員を停職処分にする権限を持たせる。重要なのは、従業員が責任を負うことだ。
従業員が安全かつオープンに発言できる場を設ける
そうすることで、軽んじられたと感じている人々は「自分は一人ではない」と感じることができる。このサポート制度は、彼らが差別的な出来事を報告しやすくするために重要だ。
カシリエは「軽んじられたと感じている人々が、自分の経験や考えをオープンに共有することを奨励されれば、人々がもっと自由に互いの話ができる環境が生まれるだろう」と述べている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)