アマゾンは日本初とな純正ワイヤレスイヤホン「Echo Buds(第2世代)」を発売した。
撮影:小林優多郎
2月24日に出荷が始まったアマゾンの新型ワイヤレスイヤホン「Echo Buds(第2世代)」。
Echo Budsシリーズとしては2世代目だが、日本では初めてとなるアマゾン独自の完全ワイヤレスイヤホンだ。
価格は1万4980円(ワイヤレス充電非対応ケースを選べば、1万2980円)。使用感を実機で確認してみた。
まさにスマートスピーカーがイヤホンになった感覚
Echo Buds(第2世代)に含まれる付属品。ケーブル、イヤーチップとウイングチップが同梱している。
撮影:小林優多郎
ワイヤレスイヤホン市場には、高音質を売りにした3万円を超えるものから、手軽さを重視した2000円を下回るものまで幅広い価格の製品がある。
例えば、アップルの「AirPods(第3世代)」がアップルストア価格2万3800円、グーグルの「Pixel Buds A-Series」がグーグルストア価格1万1900円(それぞれ税込)だ。Echo Buds(第2世代)は比較的お手頃な価格設定と機能性を両立したモデルということになる。
Echo Buds(第2世代)は必ず初期設定をスマホ向けの「Amazon Alexaアプリ」で行う必要がある。既にAlexaアプリにAmazonアカウントでログインしている場合は、アプリを立ち上げてEcho Budsを開くだけでペアリング作業が開始できる。
撮影:小林優多郎
Echo Budsはその名の通り、アマゾンのスマートスピーカー/ディスプレイ「Echoシリーズ」のイヤホン版だ。スマホと接続時に「アレクサ」と呼びかければ、天気や音楽の再生から家電の操作が可能だ。
イヤホンであるEcho Budsらしい特徴的な機能としては「アレクサ、XXさんに電話をして」(音声通話の発話)、「アレクサ、ノイズキャンセルをオン」といった命令が利用できる。
同じ「Echoシリーズ」であるスピーカーと連携して、聴いていた楽曲やオーディオブックの再生位置を維持したまま、別の機器で再生するといったことも可能。
撮影:小林優多郎
また、スピーカー/ディスプレイのEchoシリーズ共通機能として、音楽やオーディオブックの続きを再生する機能もある。
例えば、外出中にAmazon MusicやApple Musicで音楽をEcho Budsで聞いていて、家に帰ってイヤホンを外す(Echo Budsは着脱で再生/一時停止が切り替わる)。
その後、家に設置したEchoシリーズに向かって「アレクサ、続きをかけて」と言えば、スピーカー/ディスプレイでそれまでに聴いていたコンテンツの再生位置から曲が流れ始める、といった具合だ。
Echo Buds(第2世代)には、マイクの「ミュート機能」がある。
画像:筆者によるスクリーンショット
個人的に「Echoらしさ」を感じる部分が他にもあった。それはアレクサアプリに「マイクのミュート」機能があるところだ。
昨今、アマゾンをはじめとする巨大IT企業は、広い意味での利用者のプライバシーへの配慮が欠かせなくなっている。
例えば、アマゾンはEchoシリーズのマイクやカメラを明示的にオフにする物理的なボタンをつけている。Echo Budsには物理的なボタンはないが、その代わりアプリに「ミュート」機能をつけているわけだ。
ちなみに、ミュートにすると「アレクサ」と呼びかけても反応しない。オンライン会議ツールなどマイクを利用するアプリを開いても「マイクがミュートになっています」と、イヤホンのマイクから音声入力ができない旨のアナウンスが流れる。
前述のPixel Budsシリーズにも、AirPodsシリーズにも「マイクだけを無効化する」モードはない。マイクミュート機能が便利かどうかは別だが、ユニークな点ではある。
ノイキャン/外音取り込み、タッチ操作に対応
本体にはうっすらとスマイルマークがプリントされている。
撮影:小林優多郎
イヤホンとしての素性もシンプルかつ必要十分といった印象だ。
仕様としては、5.7mmのダイナミックドライバーを搭載。個人的な感覚では、音質はクリアーな方で、高音が割れるような安っぽさはないが、低音はやや軽めの印象だ。
コーデック(データ伝送方式)としては、SBC/AACに対応。LDACやaptXといった比較的高音質もしくは低遅延のものは搭載されていない。
Echo Buds(第2世代)本体の内側。ノイズキャンセルなどに使うマイクは、内側に1つ、外側に2つそれぞれついている。
撮影:小林優多郎
“売り”のひとつであるアクティブノイズキャンセリングの性能は、「とても強力」とまでは言えないが「実用的」とは感じた。
試しに地下鉄内で使ってみたが、最近では換気のため車両の窓は開いている。イヤホンがないとかなりノイズの激しい環境だが、楽器が多めの曲の場合はノイズがほとんど気にならず、独唱のような静かな曲ではやや消えきれていない音があるという印象だ。
また、ノイズキャンセルの逆であるアンビエントサウンド機能(いわゆる“外音取り込み機能”)も搭載。駅のホームや歩行中など周りに注意すべきタイミングにも利用できる。
装着してみた様子。タッチ操作は本体のスマイルロゴを突くイメージ。
撮影:小林優多郎
日常の各種操作は本体のタッチ操作で行う。タッチ操作は本体の耳から露出している部分を1、2、3回、ロングタップするといったものだ。
標準では、1回タップで再生/一時停止、2回で曲送り、3回で前の曲に戻す、ロングタップ(長押し)でノイズキャンセル/アンビエントサウンドを切り替えられる。
「Amazon Alexaアプリ」から一部の設定は変更でき、例えば長押し時にスマホ標準のアシスタント(SiriやGoogleアシスタント)やアレクサの呼び出し、前述のマイクミュートに割り当てることも可能。
ワイヤレス充電対応ケースの場合は、Qi充電台でも充電可能。写真は「Made for Amazon」認証付きのアンカー製「PowerWave 5Wワイヤレス充電パッド」(別売、1980円)。
撮影:小林優多郎
なお、充電方法はケース背面のUSB Type-C端子から行う。対応ケースの場合は、有線に加えてワイヤレス充電が利用できる。
アマゾンはEcho Buds(第2世代)向けにアンカー製の「PowerWave 5Wワイヤレス充電パッド」を別売で用意しているが(1980円)、ワイヤレス充電の共通規格である「Qi(チー)」であれば、他の製品でも充電できる。
あえてアマゾンの用意する充電パッドを利用するメリットとしては、充電パッドにちょうどケースがはまる溝がある点、ケースとイヤホン本体の充電状況を目視できるインジゲーターがある点があげられる。
Amazon Music Unlimitedのフル機能は使えない
写真左からEcho Buds(第2世代)、AirPods Pro、 AirPods(第1世代)、Pixel Buds A-Series、LinkBuds。
撮影:小林優多郎
Echo Buds(第2世代)を一言で表すと、「アマゾンらしい割り切りのあるコストパフォーマンスが高い製品」だ。
他社の製品と比べても安い部類でかつノイズキャンセルやアンビエントサウンドモードを搭載。さらに、スマートスピーカーゆずりのアレクサの各種機能が利用できる。
例えアレクサの機能を使わなくても、音楽やオーディオブックを手軽に聴くのであれば、十分満足できる性能を持っていると思う。
ただ、価格とトレードオフの部分もある。
代表的な点は前述の音質や対応コーデックの少なさ。そして、最近の流行りの、立体感のある音響体験ができる「空間オーディオ」には非対応である点だ。
月額780円の音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」では、HD/Ultra HD(ハイレゾ)品質の楽曲や空間オーディオ対応のタイトルが一部配信されている。
それらのリッチなサービスは残念ながらEcho Buds(第2世代)では体験できない。
ただそれらの機能は、スピーカーのEchoシリーズでも上位機種で2万4980円の「Echo Studio」でしか使えない。1万円台前半のワイヤレスイヤホンであるEcho Budsが非対応だとしても、そこまで違和感はない。
安くて機能が豊富な完全ワイヤレスイヤホンを試してみたい、既存の製品を持っているがサブ機として買い足したいなどといった人には必見の製品と言える。
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(文、撮影・小林優多郎)