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2021年10月にフェイスブックがメタ(Meta)に社名を変更し、メタバースを構築する計画を発表して以来、「メタバース」はテック業界で話題だ。
メタ以外にも、マイクロソフトや中国のハイテク大手テンセントといった企業が独自のメタバース構築に投資しており、JPモルガンのようなレガシー企業も参入している。同銀行の最近の報告書は、メタバースは1兆ドル(約115兆円、1ドル=115円換算)の市場機会になると予測している。
インフルエンサーマーケティング企業の IZEAは、インターネットユーザー、特にコンテンツクリエイターがメタバースについてどう感じているかを調べるため、2021年末、約1000人を対象にメタバースに関する行動や期待について調査をした。
調査は「メタバースの世界で影響を与える」と「仮想通貨に影響を与える」の2つに分かれており、インターネットユーザーがネットの未来の中で仮想通貨やNFTの役割をどのように見ているかを深掘りしている。
調査対象は、アメリカ国内の18歳以上のインターネットユーザーだ。それによると、回答者の62%がソーシャルメディアを日常的に利用していると答え、23%が自分は「インフルエンサー」であると回答し、15%が「ソーシャルメディアを利用していない」と回答した。
IZEAのCEOであるテッド・マーフィ(Ted Murphy)は、「メタバース」という概念はまだ曖昧であり、回答者が自分なりに解釈できるように、質問の中でその意味を特定しなかったという。
調査で明らかになった5つのポイント
1. インフルエンサーの56%が現在メタバースに参加
一般のSNSユーザーでメタバースを利用していると答えたのは11%のみで、インフルエンサーの56%とは対照的だった。
IZEAのCEOは、メタバースに参加していると答えたインフルエンサーの多さに「驚かされた」と述べている。
「面白いですよね。人はメタバースの意味について自分なりの意見を持ち、自分なりに解釈したいと思っている。また、それが自分にとってどんな意味を持つのかを考えたいと思っているのです」
2. インフルエンサーの6割が 「クリエイター」としてメタバースに参加したいと回答
クリエイターがメタバースに参加したいと強く望むのは、当然のことだ。インタラクティブで、まるで実際に体験しているような感覚を味わえるメタバースでクリエイターになれば、新たな収入源にもなり得る。
メタバースでクリエイターとしてお金を稼ぐ活動とは、ブランドの体験の提供、ブランドものの着用や使用、コンサートやパーティーなどのバーチャルイベントの開催、NFTの共同制作やプロモーションなど、さまざまなことを意味するということが、IZEAの調査から読み取れる。
3. 9割のインフルエンサーが仮想世界でのブランド提携を支持
「インフルエンサーやブランド企業が、他のプラットフォームで使うような多額のお金を(メタバースで)使うようになるのは、まだ先のことだと思います」とマーフィは言う。
とはいえ、ブランド企業はメタバースの世界で広告が持つ力をすでに理解している。調査の回答者が、チポトレ、コカ・コーラ、マーベル、ナイキ、レッドブルなどの「メタバース」で広告を見たことがあると答えていることからもその可能性が分かる。
「『ほら、見て。これは私があなたの会社のソーダを飲んでいる写真よ』とインフルエンサーが棒読みするのではなく、もっとインタラクティブな体験が語られることになるでしょうね」とマーフィは言う。
4. 49%がメタバースで稼いだお金はビットコインで支払われることを希望
メタバースで一番好まれる支払い方法は、仮想通貨だという。ビットコインだけでなく、9%のインフルエンサーがイーサリアムで支払われることを希望し、5%が他の仮想通貨を受け入れると回答している。米ドルでの支払いを希望すると答えたインフルエンサーは31%にとどまった。
5. インフルエンサーの70%は、SNSはメタバースに置き換わると考えている
メタバースがソーシャルメディアに取って代わると考える一般的なSNSユーザーは、41%に過ぎない。しかしインフルエンサーは、その可能性をより確信していることが分かる。
ただ、それが現実になるまでには少なくとも10年前後はかかるとマーフィは言う。その第一歩として、メタバース関連技術をもっと安価にする必要がある。なにしろVRヘッドセットが800ドル(約9万2000円)もするのだから。
調査の回答者も同じように感じている。メタバースに参加していない理由として一番多かったのが、メタバース関連技術が安くなるのを待っているからというものだった。
(翻訳、編集:大門小百合)