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奇妙な動物の化石が、失われた大陸「バルカナトリア」発見につながった

バルカナトリアの発掘現場で記念撮影をする研究者のヤン・ウェスターウィールとアレクシス・リヒト。

バルカナトリアの発掘現場で記念撮影をする研究者のヤン・ウェスターウィールとアレクシス・リヒト。

Alexis Licht and Grégoire Métais

  • 今では忘れ去られた大陸が、約4000万年前にはアジアとヨーロッパの架け橋になっていたかもしれない。
  • この大陸にはかつて、有袋類やカバのような哺乳類などが生息していたことが、化石記録から分かっている。
  • これらの生物は、やがてアジアからやってきた他の種に駆逐されたようだ。

科学者たちは、バルカン半島と西アジアのアナトリア半島で「失われた大陸」に遭遇するとは思ってもみなかった。彼らは、これらの地域の化石がヨーロッパやアジアで発見された化石と一致しないという謎を解明したいと考えていた。

「非常に奇妙な生物の化石がいくつか報告されていたが、それらがなぜそこにあったのか見当もつかなかった」とフランス国立科学研究センターの研究員、アレクシス・リヒト(Alexis Licht)はInsiderに語っている。

リヒトらは、南米でよく見られる有袋類や、アフリカ固有の重脚目(ゾウほどの大きさでカバに似た哺乳類)が存在していた証拠を発見した。さらに、古代の哺乳類、プレウラスピドテリウス(pleuraspidotheriids)の化石も発見した。これは5600万年前に姿を消したと考えられていたが、実際にはもっと長く生存していたことが示唆された。

「まったくつじつまが合わなかった」とリヒトは言う。

「これまで考えられていたよりもずっと新しい時代まで、なぜそれらがそこにいたのかを説明するのは困難だった」

「Earth-Science Reviews」の2022年3月号に掲載された論文によると、科学者らはこれらの生物が「バルカナトリア(Balkanatolia)」と呼ばれるヨーロッパ、アフリカ、アジアの間にあった独自の大陸に生息していた可能性が高いと結論付けた。

この大陸は、少なくとも5000万年前には群島として存在していた。しかし、4000万年前に海面の低下などにより、アジアと西ヨーロッパを結ぶ陸橋になった可能性がある。

「我々が発見した化石と、それ以前の論文で発表された化石は、バルカンとアナトリアに共通するものであり、そこは当時のヨーロッパやアジアとは生物学的にまったく異なる独特な地域だった」とリヒトは言う。

「同じ生物が生息する一つの大きな陸地であったという意味では、失われた大陸だと考えられる」

かつてのバルカナトリアは、今ではヨーロッパやアジアと一体化している。

4000万年前のバルカナトリア(上)と、現在のバルカナトリア(下)。

4000万年前のバルカナトリア(上)と、現在のバルカナトリア(下)。

Alexis Licht & Grégoire Métais

海から現れた陸橋を、アジアの哺乳類が渡っていった

3400万年前にアジアの哺乳類が西ヨーロッパで繁栄するようになり、「グランド・クーピュア(Grande Coupure):大断絶」と呼ばれる動物相の大きな変化が突然に引き起こされたと、最近まで考えられていた。しかし今回の研究で、それよりも500万年から1000万年前からバルカナトリアにアジアの哺乳類が繁栄するようになったことが明らかになった。

この説を立証するのにある化石が役立った。それが、3500万年から3800万年前に生息していたサイに似たブロントテリウムの顎の骨の断片だ。

「哺乳類の化石に関してすばらしいことの1つは、すべての種がそれぞれ異なる歯を持っていることだ」とリヒトは言う。

「ほんの少しの歯があれば、どのような種なのか特定できる。だからこそ、顎の化石が1つ見つかったというだけで、すでに多くの情報を得たことになる」

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