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Z世代は「ネット炎上」で商品購入をやめる割合が多い?…炎上を3年間分析して分かったこと

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撮影:今村拓馬

近年、「ネット炎上」の増加傾向が止まらない。

シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所(以下、総研)が1月に発行した『デジタル・クライシス白書2022』によると、「炎上」というキーワードを含む合計4万3062件のSNSの投稿を精査したところ、2021年の1年間に発生した炎上事案は1766件だったという。

※同総研では「炎上」を「企業、団体や個人などが発言した内容、行為について、ソーシャルメディアを中心とするメディア上で概要が掲載・拡散され、その後に批判や非難が殺到する現象」と定義。当該事案に言及した投稿が100件以上存在する場合を対象

過去2年間に起きた炎上事案の件数と比較すると、2019年(1228件)比で43.8%増、2020年(1415件)比で24.8%増加した。

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2019年〜2021年の月ごとの炎上の発生件数の推移を表したもの。2021年に炎上事案が最も多く確認されたのは3月の224件であり、次いで2月の191件だった。1月〜3月にかけて炎上発生件数は増加傾向であった一方で、4月〜5月にかけては減少傾向が見られた。7月以降はほぼ横ばいに推移している。

出典:『デジタル・クライシス白書2022』

炎上が増加傾向を示すなかで、同白書では、Z世代をはじめとした若年層の興味深い傾向も浮かび上がる。若年層は上の世代と比べて、炎上の主体である法人が扱う商品やサービスの「購入や利用を再検討・停止」する割合が多いというのだ。

2021年は東京五輪と新型コロナ関連の「ネット炎上」が多発

2021年に炎上原因となった問題行動の主体は、芸能人や政治家などの著名人が38.9%、公共団体や従業員などの法人等が33.5%、一般人が27.6%だった(同総研の集計によるとYouTuberも一般人に含まれる)。2020年と比較すると、著名人に関する炎上事案の割合が減少し、法人等や一般人に関する炎上事案の割合が増加している。

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炎上の原因となった問題行動の主体を割合別に表したもの。「著名人」は2020年には51.3%と過半数だったが、2021年には38.9%と減少している。一方で、「法人等」は2020年には29.8%だったが、2021年には33.5%と微増した。「一般人」は2020年には18.9%だったが、2021年には27.6%と増加している。

出典:『デジタル・クライシス白書2022』

2021年に起きた具体的な炎上事案としては、著名人では東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長(当時)の森喜朗氏による「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの性差別発言をはじめとした東京五輪関連、一般人ではYouTuber31名による緊急事態宣言下での大規模な飲み会などの新型コロナ関連などが挙げられる。

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シエンプレ デジタル・クライシス対策課 主査/シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 研究員 嶋津幸太氏。

提供:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所

本白書の作成に携わった、シエンプレ デジタル・クライシス対策課主査で、同総研研究員の嶋津幸太氏は、2021年に一般人による炎上事案の割合が増加した背景について、こう考察する。

「調査対象の投稿に含まれるハッシュタグを調査して比較したところ、YouTuberのコレコレさん※に関するキーワードが2020年には3位、2021年には4位に入っています。YouTubeなどの(ソーシャル)メディアの影響が大きくなったことが影響していると考えられます」

表

調査対象の投稿に含まれているハッシュタグを調査して、特定のキーワードが投稿に含まれる割合順に並べたところ、2020年と2021年ともに「#拡散希望」「#炎上覚悟で本音を言う」「#質問箱」などのほか、炎上に関する動画投稿で知られるYouTuberのコレコレ氏に関するキーワードが上位(2020年には「#korekore19」が3位、2021年には「#コレコレ」が4位)に位置している。

出典:『デジタル・クライシス白書2022』

※コレコレ氏:YouTube Liveなど生放送を中心に配信するYouTuber。オンライン著名人の暴露系配信で知られる。2021年10月には宝島社から『告発 誰も晒せなかったSNSのヤバすぎる闇』が刊行されている。チャンネル登録者数は165万人(3月1日現在)。

Z世代は「ネット炎上」に敏感?

Z世代と炎上に話を戻そう。全国47都道府県の10代〜60代まで5013人を対象に、炎上事案に対するリテラシーやその後の行動などを調査したところ、さまざまな回答で10代と20代がリードしていると分かった。

10代と20代に目立ったのが「炎上の認知度」「炎上に関する情報のクリック率」「法人等が炎上している内容を目にした場合、炎上の主体である法人等が扱っている商品やサービスの『購入や利用を再検討・停止する』と回答した割合」などだ。

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年代別に炎上の認知度を比較したところ、全体では「1日10回以上」は2%だが、10代と20代は3.3%で、上の世代よりも多い。

出典:『デジタル・クライシス白書2022』

炎上の認知度は、「1日10回以上」から「週に3回未満」までの割合を合わせると、10代が最も多く、次いで20代が多い。30代以降も年齢が高くなるにつれ、炎上の認知度は下がる傾向がみられた。

炎上に関する情報のクリック率は、炎上原因となった問題行動の主体別で見ると、著名人と法人等が10代、20代の順で多い。一般人は20代が最も高く、次いで10代が高かった。

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年代別に「法人等が炎上している内容を目にした場合、炎上の主体となっている法人等が扱う商品やサービスの購入や利用にどの程度の影響があるか」を比較したところ、「購入や利用に影響はなかったし、優先順位は下がらなかった」と回答した割合は全体では42.80%だが、10代は31.90%、20代は33.30%に過ぎなかった。

出典:『デジタル・クライシス白書2022』

炎上の主体となっている法人等が扱う商品やサービスの「購入や利用を再検討・停止する」と回答した割合※は、20代が33.0%で最も多く、次いで10代は29.5%だった。30代以降は年代が高くなるにつれ、割合が低くなる傾向がみられた。

※一般論としての設問への回答のため、回答者がどの炎上事例を想起したかは判別できない

これらの調査結果をまとめると、Z世代などの若年層は上の世代より、炎上を認知・クリックする頻度が多く、時には発端となった法人等が取り扱う商品やサービスの「購入や利用を再検討・停止」する可能性も高い、ということになる。

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シエンプレ株式会社 主任コンサルタント/シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 主席研究員 桑江令氏。

提供:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所

シエンプレ主任コンサルタントで、同総研 主席研究員の桑江令氏は、Z世代などの若年層が「ネット炎上」に敏感と考えられる背景についてこう分析する。

「いわゆる『ソーシャルネイティブ世代』にとって、ネット上のつながりが持つ信頼性はリアルでのつながりと近くなってきており、それがネットの口コミに対しての抵抗感のなさと信用性の高さにつながっているといえるでしょう。ネットのリテラシーも高いため、『自分自身がネットのさまざまな情報を吟味して取捨選択しているのだ』という自負になっているかもしれません。

あわせて若年層の価値観として『ソーシャルグッド』が挙げられます。そのブランドや企業が自身にとって良いか悪いかの判断に影響するため、企業としての姿勢が可視化されやすいネット炎上が購買意欲に影響していると言えるでしょう

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