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米「宇宙往還機」開発企業と大分県、兼松が提携会見…宇宙ステーションからのお帰りは大分空港経由で

イメージ

Dream Chaserのイメージ

提供:Sierra Space

2022年2月26日、大分県と商社の兼松、宇宙ステーションに人や物資を運ぶ「宇宙往還機」を開発する米・Sierra Space(シエラ・スペース)の3者がパートナーシップを締結したことを発表した。

今後、大分空港をアジアにおけるSierra Spaceの宇宙往還機の着陸拠点とすることを目指し、検討を進めていくとしている。

3000メートルの航空機用滑走路をスペースポートに

国内では、北海道の大樹町をはじめとする地域で、ロケットや宇宙船を打ち上げるスペースポート(宇宙港)の整備が進められている。

大分県では、ロケットの打上専用の「射場」を建設するのではなく、大分空港にある3000メートルの滑走路を活用する計画が進んでいた。

この事業は、改修した航空機から小型ロケットを発射して衛星を打ち上げる米国のベンチャーVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)とその衛星の打ち上げ枠の販売を仲介するANAホールディングスから相談を受けたことから始まった。

今回、大分県、兼松の2者と提携したSierra Spaceは、アメリカの大手航空宇宙メーカーSierra Nevada Corporation(シエラ・ネバダ・コーポレーション)の宇宙部門を独立させる形で2021年4月に設立した企業だ。2021年11月には、航空宇宙・防衛分野で世界で2番目に大きい額である14億ドル(約1600億円)をシリーズAラウンドで調達している

2021年9月には航空宇宙分野の部品などを扱っている商社の兼松と提携を発表。近年多くの小型衛星が投入されている地球低軌道と宇宙ステーションの利用拡大に向けて事業開発に取り組むとしていた。

兼松は、Sierra Spaceから事業創出につながる拠点の探索を要望されており、その調査の中で、大分空港が着陸拠点の候補として挙がり、今回の提携に至ったという。

着陸

Dream Chaserが大分空港に着陸する様子のイメージ。

提供:Sierra Space

Sierra Spaceが開発中の宇宙往還機「Dream Chaser(ドリームチェイサー)」は、垂直型ロケットで打ち上げられて、宇宙ステーションへの物資の補給などを担う。帰還する際には、スペースシャトルのように滑走路に降り立つ。この帰還の際に、大分空港を活用しようというわけだ。なお、スペースシャトルは全長約37メートルであったのに対し、Dream Chaserは9メートルと小型だ。

既にNASAとも、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する契約を結んでおり、2022年後半以降には初飛行を実施する計画だ。将来的にはDream Chaserによる有人飛行も実現したいとしている。

さらに、Sierra Spaceは、2021年7月に宇宙旅行を成功させたBlue Origin(ブルーオリジン)らと提携して、宇宙ステーション「Orbital Reef」を構築する構想を発表している。Orbital Reefは、老朽化が進むISSの後継として、NASAが構築を支援している民間の宇宙ステーションのひとつだ。いずれはDream ChaserでOrbital Reefに旅行者や物資を輸送したい考えだ。

大分県「数万人規模の見学客に期待」

市長

大分空港のある大分県国東市の三河明史市長。

撮影:井上榛香

2月27日の記者会見で、大分空港がある国東市の三河明史市長は、3者の提携について

「大分空港がまた一段と宇宙に近づいたように感じる。市を挙げて歓迎したい。Dream Chaserの着陸を見るために、多くの人が大分空港を訪れてくれるようになるのではないか」

と期待を語った。

大分県商工観光労働部の高濱航氏も、NASAのスペースシャトルが帰還する際は数万人規模の見学者が集まっていたことを例に挙げ、「大分空港にも多くの人に見学に来ていただきたい」と、観光面での期待が大きいことが伺える。

ただもちろん、Dream Chaserの恩恵は観光客の増加だけではない。

宇宙から帰還する際に滑走路に着陸する形式は、海に着水する仕組みの宇宙船と比べて受ける重力が小さい。つまり、搭乗者の負担も軽減されることが期待できる。また、ISSでの科学実験の成果物を日本に持ち帰るまでにかかる時間を短縮できる点も魅力だ。

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