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- ウエイトやレジスタンスバンドを使ったトレーニングや自重トレーニングは、体力と筋肉の強化に役立つ。
- 新たな研究によると、がんや心臓病による死亡するリスクを低下させる可能性もあるという。
- 週に30~60分の運動が効果的で、有酸素運動を加えるとさらに効果が高まるという。
筋肉を鍛えるのは単に見た目が良くなるだけではなく、より長く健康な生活を送るために役立つという研究結果が発表された。
ウェイトリフティングから柔軟体操まで、定期的に筋肉を強化する運動は、がん、心臓病、糖尿病などの深刻な慢性疾患による死亡リスクを10%から20%下げることにつながるという研究結果が2022年3月1日、イギリスの医学雑誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(British Journal of Sports Medicine)」で発表された。
東北大学、九州大学、早稲田大学の研究者グループは、2012年から2020年の間に発表された16件の研究データを調査し、運動習慣と主要疾患による死亡率を比較した。
週に30分から60分、ある種の強化運動を行った参加者たちは、試験期間中に何らかの原因で死亡する可能性が有意に低かったことがデータで示された。また、心臓病(リスクは17%減)、がん(同12%減)、糖尿病(同17%減)など特定の病気のリスクも低かった。
そして、筋力トレーニングと何らかの有酸素運動を組み合わせて心拍数を上げることは、疾病リスクのさらなる低減につながることが研究者グループによって明らかにされた。
この結果は、どちらのタイプの運動も健康と長寿を増進させるというこれまでの研究結果を裏付けており、効果を得るために何時間もジムで頑張る必要がないことを示唆している。
ウエイトトレーニングをしなくても筋肉は増強できる
徐々に筋肉を鍛え、時間とともに大きく強くすることができるため、ウエイトトレーニングは筋肉増強には理想的な方法だ。またウエイトリフティングは、スキルレベルを問わず、ほぼすべての年齢層の人が行える運動だと専門家は以前Insiderに語っている。
しかしながら、今回の研究によると、腕立て伏せやスクワットなどの自重トレーニングや、レジスタンスバンドを使ったワークアウトなども筋肉を増やす運動だとみなしてよいことが分かった。
少しのエクササイズが大きな違いを生む
筋力トレーニングの疾病予防効果は、ほとんどの健康リスクに対し、週30分から60分の運動が最大であることを研究者グループは発見した。
糖尿病など一部の病気では、1週間に1時間未満の運動をすることでリスクが大幅に減少した。運動が1時間を超えても、付加的な効果は時間の経過とともに徐々に減少する。
この結果は、ジムに通わなくても一貫した運動習慣から効果を得られることを示しており、週に2回程度の運動をすれば健康と筋肉増強の両方にプラスであることを裏付けている。
有酸素運動と筋力運動の組み合わせは健康を最大限に高める
ミネソタ州の総合病院、メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)によると、心拍数を上げる有酸素運動は、スタミナの向上、気分の改善、心臓が健康になるなどの効果と関連があることがこれまでの研究で明らかになっているという。
今回の研究は、筋力トレーニングにはさらなる効果があることを示唆している。研究者グループは、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせると、どちらか一方の運動をするだけよりも、さらに多くのリスク低減につながることを発見した。データによると、両方の運動を行っていた研究の参加者たちは心臓病のリスクが最大で46%、がんのリスクは28%低かったことを示している。
トレッドミル(ルームランナー)や屋外でのジョギングが苦手な人は、軽いウエイトを使ってレップ数を増やしたり、エクササイズ間の休憩時間を短くするなど、トレーニングの方法を変えることで走らなくても有酸素運動の効果を得ることも可能だ。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)