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投資の神様ウォーレン・バフェットから株主への書簡…日本株、利上げ、アップル、気候変動などに言及

ウォーレン・バフェット

CNBC/YouTube

  • ウォーレン・バフェットは、自社株主への年次書簡で、不適切な会計処理が見られる現状を批判し、利上げについて静かに警告を発した。
  • バークシャー・ハサウェイは、日本株への投資を増やし、インフレと気候変動への対処に自信をのぞかせている。
  • バフェットは、自身の納税のあり方について述べ、バークシャーのアクティビジョン・ブリザード株取得に対する批判にも応えた。

投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)。同社株主に宛てた最新の年次書簡には、バフェットとその会社を支持する人々にとって、多くの有益な情報が含まれている。

バフェットは、株式市場の活況が不適切な会計処理の急増につながっていることを指摘した。また、投資家たちに対して、バークシャーが利上げに対処し、気候変動対策にも一定の役割を果たすことを約束した。さらに、ここ1年で論争の的になった問題に絡んで、バークシャーの税負担を擁護し、短期的な値動きで株を買わない自身の姿勢を強調した。

加えてバフェットは、日本株の保有を増やしたことや、2人の運用担当者の責任が拡大していることを強調した。また、自社株買いが魅力を失いつつあることをほのめかしている。


以下に、バフェットの書簡から、12の重要ポイントを紹介しよう

1.日本株への投資

バークシャーは、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事の株式を2021年に8~10%増やしたことを明らかにした。これら日本の3商社は、2021年12月31日時点でのバークシャーの保有額上位15銘柄にランクインしている。前年にランク入りしていたのは伊藤忠商事のみだ。

2.誤解を招く利益

バフェットは、「強気相場は大言壮語を生む」と述べ、近年の株価上昇に伴い、企業収益に対する疑わしい調整が急増していることに言及した。市場にあふれる強欲、投機熱、欺瞞への憂慮をうかがわせる発言だ。

3.株価の高騰

バークシャーの株価は、2021年に30%近く上昇。S&P500指数を上回り、1998年以降で2番目に高い年間運用成績を記録した。

4.責任の委譲

バフェットは、自社の2人のポートフォリオ・マネージャー、トッド・コムズ(Todd Combs)とテッド・ウェシュラー(Ted Weschler)が、2021年末時点で340億ドル(約3兆9100億円)の投資を担当したことを明らかにした。5年前の210億ドル(約2兆4100億円)と比べて、規模が拡大している。バフェットによると、両氏はバークシャーの保有額上位15銘柄のいくつかを担当しているという。

5.インフレに備えた保険

バークシャーの保険事業は、経済成長と物価上昇に伴い、さらなる収益を上げるはずだと、バフェットは予想している。歴史的なインフレを乗り切れるとして、株主を安心させたかったとみられる。

6.気候変動への対応

バークシャーが2009年に買収した貨物鉄道会社であるBNSF鉄道は、物資の輸送手段として、多くのトラックを使うよりはるかに環境に優しい、とバフェットは指摘する。また、バークシャー・ハサウェイ・エナジー(Berkshire Hathaway Energy)は、再生可能エネルギーの生産と送電の有力企業となっており、その利益をすべて「気候に配慮した動き」に投じていると述べている。

バフェットのこうした指摘は、バークシャーが化石燃料産業に関与していることへの批判と、カーボン・フットプリント(温室効果ガス排出量)についての透明性を高めるべきだとの圧力に対する反応とみられる。

7.公正な負担

バークシャーは、2021年に33億ドル(約3790億円)の連邦所得税を納めたが、これは、同年に米財務省が徴収した法人所得税全体の1%近くに相当する、とバフェットは述べている。また、同社が多額の州税や外国税を支払っていることも指摘した。

これは、2021年夏に非営利報道機関「プロパブリカ(ProPublica)」が発表した調査結果に端を発した、自身の納税をめぐる批判に応えたものだろう。バフェットは、自身が経営権を握るまでの9年間にバークシャーが納めた税金は総額33万7000ドル(約3870万円)、すなわち1日100ドル(約1万1500円)と「情けない」額だったのに対し、現在は1日900万ドル(約10億3400万円)に相当する税金を納めていると指摘した。

8.自社株買いは減速

バークシャーは2020年から2021年にかけ、約520億ドル(約5兆9760億円)を費やして自社の発行済み株式9%を取得したとバフェットは述べている。しかし、2022年に入ってからは、自社株買いに2月23日現在で12億ドル(約1380億円)しか費やしていない。これはバフェットが、1月から約7%値を上げているバークシャー株の買い戻しに、以前ほど魅力を感じなくなっていることを示唆している。

9.トレーディングではなく投資

バフェットは、バークシャーは短期的な市場の動きではなく、その企業の長期的なパフォーマンスを予想して投資を行うと述べている。書簡ではこれについて、「(経営パートナーである)「チャーリー(・マンガー[Charlie Munger])と私は、株を選ぶ人間ではなく、ビジネスを選ぶ人間だ」と表現している。

彼の言葉は、バークシャーが前四半期に大手ゲーム企業のアクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)の株を10億ドル(約1150億円)分取得したのは、マイクロソフト(Microsoft)が同社の買収を計画していることを知っていたからだ、という主張への反応とみられる。バフェットはこの陰謀説を一蹴し、株式の85%は、買収が発表される約3カ月前の10月に取得したことを指摘している。

10.金利は重要

バフェットは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が2022年に予定している利上げについて、投資家に静かに警告を発した。

「金利は常に重要だ」と彼は述べ、金利は株式、アパート、農場、油井など、あらゆる生産財の価格に影響を及ぼすと強調した。

11.現金の保有を増やし、次の投資に向けて準備中

最近のバフェットは、バークシャーの莫大な保有現金の一部を投入する準備をしており、掘り出し物を探しているのかもしれない。バークシャーは2020年末時点で、450億ドル(約5兆1700億円)の現金および現金同等物、ならびに900億ドル(約10兆3400億円)の長期国債を保有していたが、2021年末には両者の比率が850億ドル(約9兆7700億円)と590億ドル(約6兆7800億円)に変化している。

さらにバフェットは、12月31日時点で、バークシャーが保有する合わせて1440億ドル(約16兆5500億円)のうち1200億ドル(約13兆7900億円)が、1年以内に満期を迎える国債に投じられていると指摘する。加えて、自身は資産の100%を事業に投じたい投資家であるとし、バークシャーが現金を多く保有する状態はいつまでも続かないと、株主に強調している。

12.アップル株への姿勢は変わらず

バークシャーは、アップル株式の5.6%を持っている。バークシャーの株主からは、3倍以上に値上がりし、今ではバークシャーの株式ポートフォリオ全体の40%以上を占めるようになったアップル株を減らすよう求める声もある

しかしバフェットは、書簡の中でアップルのCEOティム・クック(Tim Cook)を賞賛し、アップルを自社の保険事業に次ぐ、バークシャーにおけるナンバー2の「巨人」と呼び、当面はこのポジションを引き下げるつもりはないことを示唆した。

[原文:Warren Buffett quietly boosted his Japan bets, warned about Fed rate hikes, and defended his tax contributions. Here are 12 key insights from his annual letter.

(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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