9年超務めた最高技術責任者(CTO)を退任するメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)のマイク・シュローファー。
Greg Sandoval/Business Insider
メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)に在籍13年超、最高技術責任者(CTO)を9年超務めたマイク・シュローファーが、経営幹部職を離れるにあたって大金を失うことになりそうだ。
2021年9月、シュローファーはCTOを「2022年中に退任する」考えを明らかにしていた。
メタが米証券取引委員会(SEC)に提出した臨時報告書(=財務状況や株価に影響を与えうる重要事項の開示様式)によれば、CTOとしての最後の勤務日は3月14日に決定した。
シュローファーは、社内に新設された非常勤職の「シニアフェロー」に就任する。
これまで受けとっていた給与と株式のほとんどは、CTO退任とともに手放すことになる。
前出の臨時報告書の記載によれば、シュローファーは(自身が保有するメタ株式の3分の1に相当する)譲渡制限株式ユニット(RSU)23万2186個を没収される。
現時点でメタの株価は1年前に比べて大幅に値下がりしているが、それでもこの23万個超(=要件を満たすまでCTO職にとどまれば23万株超を交付される)のRSUは4700万ドル(約54億円)以上に相当する。それほどの大金を一瞬にして手放すわけだ。
シュローファーが退任を表明した2021年9月は、フェイスブックが憎悪表現や有害投稿の制限などがもたらす害悪を事前に認識しながら安全対策を怠ってきたことを非難する内部告発に端を発する同社創業以来の危機のさなかだった。
シュローファーの退任は、フェイスブックおよび社名変更後のメタの歴史のなかでも類例がない最高経営幹部の離脱と言える。
新設のシニアフェロー職の待遇としては、36万ドル(約4100万円)の年俸に加え、その最大75%までの特別ボーナスが用意されている。したがって、非常勤ながら年間最大63万ドル(約7200万円)の収入を得られる可能性がある。
シニアフェローの職掌は「優秀なエンジニアの採用と育成、人工知能(AI)関連の取り組み支援」になるという。
シュローファーの退任を控えた2022年1月には、メタの拡張現実(AR)/仮想現実(VR)部門(現在のリアリティー・ラボ)責任者を務めるアンドリュー・ボズワースが後継CTOに就任したが、前任のシュローファーほど多くの部門を管轄することはないとみられる。
メタ公式サイトの記述(日本語)によれば、ボズワースは「Quest(AR/VRヘッドセット)、Portal、Ray-Ban Storiesなどにおける、AR、VR、AI、消費者向けハードウェア」に関する取り組みを統括しているという。
[原文:Facebook's outgoing CTO is giving up almost $50 million as he moves to a new role]
(翻訳・編集:川村力)