ロシアのプーチン大統領(左)と中国の習国家主席。
Alexei Druzhinin/TASS via Getty Images
- 中国の主要な大学の歴史学者や卒業生が、ロシアのウクライナ侵攻に反対を表明している。
- 彼らの反戦メッセージは、中国政府がロシア批判を禁止していることに相対している。
- 中国はこれまで、ロシアのウクライナへの攻撃を侵略と呼ぶことを避け続けている。
「我々は声を上げなければいけないと思った」
これは、中国の一流大学、南京大学、北京大学、香港大学、清華大学、復旦大学の歴史学者が、ウクライナ侵攻を非難する公開書簡の中で書いた言葉だ。彼らのように、ロシア批判を禁止している政府に相対する行動を取る人々が増えてきている。
アメリカが出資する非営利団体ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、この書簡には「かつて同じように戦争で荒廃した国として、我々はウクライナの人々の苦しみを理解する」と書かれていた。この書簡は、戦闘の即時停止を求め、侵略が「大規模な、世界的な戦争」を引き起こす可能性があると警告している。
Insiderは歴史学者たちにコメントを求めたが、まだ回答は得られていない。
BBCの中国語放送によると、この書簡は2022年2月26日にソーシャルメディアのWeChatに投稿された後、検閲されて削除されたが、そのコピーはまだオンラインで見つけることができる。
これとは別に2月28日には、中国の主要教育機関の130人以上の卒業生が侵略を非難する請願書に署名し、政府に国連安保理決議984で約束したことを守るよう求めた。1994年に署名されたこの決議では、中国は核兵器を持たない国が外国の侵略を受けた場合、安全を保障することを約束していた。
この請願書が最初に投稿された場所は不明だが、今はネット上で広く共有されている。
中国人民大学のジャーナリズム学科を卒業したLu Nanは、この請願書に署名した一人だ。彼は「我々は皆、戦争に反対し、平和を守るという共通の目的を持っている」とRFAに語った。
「ロシアのウクライナ侵攻は、人間の良心に対する挑戦だ」
彼は「ウクライナはロシアを侵略していない。主権国家であり、国民は平和を愛している」とも述べている。
こうした反戦のメッセージは、中国政府の立場と矛盾する。中国はロシアのウクライナへの攻撃を侵略と呼ぶことを避けている。中国のソーシャルメディア上のほとんどの意見は、親ロシア、親戦争、親プーチンだとニューヨーク・タイムズは報じている。
2月22日、中国共産党が所有するHorizon Newsがロシアに好意的に報道するようにという編集上の指示を誤ってWeiboに投稿した。この投稿は、後に削除されたとワシントン・ポストが報じている。
中国の国営メディアの編集者はその後、北京がウクライナ問題でロシアを支援する必要があるのは、台湾問題でモスクワの支援が必要だからだと述べた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)