ベラルーシのブレスト地方で開かれた会談に参加するロシアとウクライナの代表(2022年3月3日)
Maxim Guchek/BelTA/Handout via REUTERS
ロシアによるウクライナ侵略戦争をめぐり、ウクライナとロシアは停戦に向けた2回目の協議を3月3日、ベラルーシ国内で開いた。
ロシア国営タス通信によると、両国は「最も激しい戦闘地域」では住民の避難や食料を輸送する間、一時的に交戦を停止することに合意したという。会談は2時間半だった。
ウクライナ大統領府も「最も戦闘の激しかった地域の民間人を避難させ、医薬品や食料を届けるための人道回廊を共同で提供することに合意した」と発表した。
ただし現時点で、人道回廊の設置地域や一時的な交戦停止がいつから実施されるか、詳細は伝えられていない。ウクライナ側の代表で大統領府長官顧問のポドリャク氏は「期待した結果は得られなかった」と述べた。
「つまり、どこでも停戦するわけではなく、人道回廊が設置される場所に限り、避難の間だけ停戦が可能になる」
(ウクライナ代表・ポドリャク氏の発言)
タス通信によると、2回目の会談内容は以下の通り。
■人道回廊について
・ロシアとウクライナは、最も激しい戦闘地域の市民を避難させたり、医薬品や食料など必要な援助したりするための「人道回廊」を設置する可能性について合意した。
・ロシア代表団のメディンスキー大統領補佐官によると、軍事機関の代表は「民間人の撤退のための期間、人道回廊セクターでの敵対行為を一時的に停止する可能性」についても合意したという。
・ウクライナ代表団のポドリャク氏は、停戦が人道回廊でのみ実施されることを確認した。
・近く両国は、人道回廊の構築のための特別な連絡経路を手配し、物流手続きを行う予定である。
■政治的側面について
・メディンスキー氏によると、両国は人道的な問題だけでなく「将来の政治的解決の問題」についても議論したという。詳細は明らかにしなかった。
・ポドリャク氏によれば、ウクライナ側は期待した結果を得ることができず、人道回廊に関するものだけが唯一得られたものだったという。
■3回目の協議について
・来週初めにも第3回目の会議をベラルーシで開く予定。ウクライナ側の要請だとしている。
・ロシア側代表団のスルツキー下院外交委員長は、第3回目協議では首脳レベルで合意し、議会で批准されなければならない合意がなされる可能性があると述べた。しかし「政治的な部分」で合意するためには、数回の会合が必要になるかもしれないと留保した。
民間人への被害、深刻に
2日には、ロシア軍がウクライナ南部の黒海沿いの都市ヘルソーンを陥落させたとの報道があった。これが事実であれば、ロシアが初めて主要都市を陥落させたことになる。
国連人権高等弁務官事務所は3月2日時点でウクライナ市民227人が死亡。うち子ども15人がだったと発表している。ロシア軍はなおも攻勢を強めており、予断を許さない情勢だ。
(文・吉川慧)