ピーター・ティールのVCらから46億円調達した12枚のプレゼン資料。「SNS×投資」で市場開拓目指すSharesの勝算

パリを拠点に2021年に創業したShares(シェアーズ)は、投資とSNSの融合を目指し、個人投資家向けアプリを開発するスタートアップだ。

Sharesのアプリには、ユーザーが友人や家族と取引情報を共有できる機能がある。当面はイギリスに居住するユーザーを対象に展開することにしており、最大1500銘柄を手数料無料で提供し、アメリカ株も購入できるとしている。Sharesアプリのダウンロードを待つウェイティングリストは、約6万人にのぼっていたという。

そんなSharesは、2022年春先に4000万ドル(約46億4000万円、1ドル=116円換算)の資金調達に成功した。

この投資ラウンドを主導したのは、PayPalの創業者兼投資家のピーター・ティール(Peter Thiel)が設立した米バラー・ベンチャーズ(Valar Ventures)のほか、仏シンギュラー(Singular)、独グローバル・ファウンダーズ・キャピタル(Global Founders Capital)も名を連ねる。これでSharesの累計調達金額は5000万ドル(約58億円)に達した。

創業者

Shares共同創業者の(左から)ハージャス・シン、ベンジャミン・ケムラ、フランソワ・ルティ。

Shares

SharesのCEOであるベンジャミン・ケムラ(Benjamin Chemla)は以前、ラストワンマイル(商品が配送所から各家庭へと至る最終接点)配送サービスのスタートアップ、スチュアート(Stuart)を創業した経験もある。今回で4度目の起業となるケムラは、事業を成長させるのはチェスをするようなものだと言う。「何をするべきか理解していれば、早く動ける」というわけだ。

ケムラによると、Sharesはただの「チャット機能が付いた取引アプリ」ではない。ユーザー同士が実際に交流できるプラットフォームの構築を目指しているという。

同アプリには、ユーザーが情報やアイデアを共有し合えるオンラインフォーラム機能が組み込まれている。悪名高いオンライン掲示板Reddit(レディット)のフォーラム「WallStreetBets(ウォールストリートベッツ)」とは違い、Sharesはユーザー認証を必要とするので誰がどんな取引をしたのか確認できる。また風説の流布などの問題を防ぐため、アプリ上のグループは20人程度に制限されている。

Sharesは当面、ユーザーが英ポンドを使って米国株を買う際の為替手数料で収益を確保するが、将来的には取り扱い通貨を増やしていくとケムラは話す。

同社は2021年4月に創業して以来、従業員は150人に増えた。イギリスを皮切りに、ヨーロッパ、アメリカ、そして最終的には南アメリカやアジアにも一気に広げていきたいとケムラは話す。

今回調達した資金はヨーロッパ各地の新拠点での採用に充て、2022年末までに従業員を250人まで増やす計画だ。株式取引に加え、仮想通貨取引もユーザーに提供したいと考えている。

「この新しい取引プラットフォームの分野で、グローバルリーダーとしての地位を確立したい」とケムラは意気込む。

以降では、Sharesが4000万ドルの資金調達に成功した際のピッチデックを紹介しよう。

Sharesは「投資」と「ソーシャル」とを融合させたアプリ。

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Shares

【和訳】

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(出所)Sharesのピッチデックをもとに編集部作成。

Sharesのプラットフォームでは、ユーザー同士が交流し、情報や意見を交換しながら投資を楽しむことができる。

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Shares

【和訳】

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(出所)Sharesのピッチデックをもとに編集部作成。

既存のプラットフォームにはどんな課題があるのか?

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