破壊された橋の下を避難するウクライナの人々(2022年3月5日、首都キーウ郊外)。
AP Photo/Emilio Morenatti
- イギリス国防省は、ロシア軍がウクライナの人々の「士気を低下させる」ために民間人を標的にしている可能性があるとの見解を示した。
- 民間人に死者が出ていることを受け、国際刑事裁判所(ICC)はロシアを戦争犯罪の疑いで捜査している。
- 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は3月5日、これまでに民間人351人が殺害されたと述べたが、実際の犠牲者の数は「もっと多い」だろうとの考えを示した。
イギリス国防省は、ロシアがウクライナの強い抵抗に驚かされ続けていて、その「士気を低下させる」ために人口密集地域を標的にしている可能性があると述べた。
ロシアのプーチン大統領は当初、ウクライナ侵攻では民間人を標的にはしないとしていたが、その後、ロシア軍は複数の町や市を無差別に爆撃し、病院、集合住宅、児童養護施設などが被害を受けている。
民間人に死者が出ていることを受け、国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪の疑いでロシアに対する捜査を開始すると発表した。
ICCのカリム・カーン(Karim Khan)主任検察官は「民間人や民間の物に対する攻撃の指示は、戦争犯罪に相当することは明らかだ」と語ったと、ガーディアンは報じている。
国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルのアニエス・カラマール(Agnès Callamard)事務総長は、「人口密集地域へのクラスター爆弾の投下を正当化する理由などあり得ません。ましてや学校の近くなどなおさらです」と話した。
その上で「今回の攻撃は、ロシアが本質的に無差別な、国際的に禁止されている武器を使用し、民間人の命を甚だしく無視していることを示している」と付け加えた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は3月5日、ウクライナでこれまでに民間人351人(男性71人、女性41人、男児8人、女児4人、性別不明の子ども10人、大人217人)が殺害され、707人が負傷したと述べたが、実際の犠牲者の数は「もっと多い」だろうとの考えを示した。
イギリス国防省はウクライナ情勢に関するツイートで、ウクライナの補給線への攻撃によってロシアの地上軍の進行に遅れが出ていて、ロシアが損害を最小限に抑えるために今では燃料補給トラックを通常の支援トラックとして隠そうとしていることも「現実的にあり得る」としている。
兵士の死傷者数については、はっきりしない。3月2日、ロシア側は500人近くが殺害されたと述べたが、ウクライナ側は11日前に侵攻が始まって以来、1万1000人のロシア兵が死亡したと主張した。
(翻訳、編集:山口佳美)