男性が考える「女性が働きやすい職場」にご用心。働く女性の実態調査2022

3月8日の国際女性デーに向けて、就職や転職についての調査を行う「JoB総研」(ライラボ運営)が「2022年 働く女性実態調査」を発表した。調査対象は全国で働く20歳から69歳までの男女(20〜30代が6割を占める)614人。

浮き彫りになったのは、女性が職場で直面する「壁」が、多くの男性には見えてすらいない実態だ。

男女格差の認識に大きなズレ

国際女性デー

男女の認識に大きなギャップが。

「2022年 働く女性実態調査」(JoB総研)

「現在の職場で女性が働きやすい環境が整備されているか?」という設問に対し、「整っている」と回答した男性が42%にのぼる一方、女性は半数の21%だった(小数点以下、切り捨て)。

また、「職場で女性が不利だと感じた経験」についても、女性の40%が「ある」としたのに対し、同様に考える男性は半数の19%と、男女の認識に大きな差があることが分かった。

女性たちが職場環境が整っていないと考える理由については、「ロールモデルがいない」「労働過多または極端に少ない」。不利と感じた理由は「キャリアビジョンを描きにくい」「出世が難しい」「給与・待遇に差を感じる」などがあげられた。

性別によって評価に雲泥の差

国際女性デー

shutterstock / ImagingL

自由記述からにじみ出るのは、いまだ根強い職場での男女格差や偏見だ。

「全く同じ仕事を全く同じように仕上げても、性別が分からない時に受ける評価と性別が分かった後に受ける評価に雲泥の差がある」

女性特有の体調変化、妊娠に伴う変化などの教育が全く行き届いていない。『よく知らないけど大変』という認識はあるが、そのレベルで止まっている」

「女性の働きやすさは、今後徐々に世代が入れ替わり、偏見や差別的な考えを悪気もなく持つ人がマイノリティになるまで、それほど変わらないと思う」

家庭での平等なくして職場での平等なし

国際女性デー

shutterstock / maroke

調査を担当したJob総研の担当者は言う。

「さまざまな場⾯で⼥性活躍を推進する取り組みがなされていますが、その浸透度や満⾜度には男⼥で認識の差が出てきていることが分かりました。

回答者からは『男性より女性の手当てが少ない』ことや、『産休・育休に対する理解がまだ示されていない』という回答が多数寄せられています。

今後は、男女ともに体調や身体の変化を考慮した上で満足した働き方を出来るかが社会的に求められていることが予測できます」

3月1日に世界銀行が公表した男女格差についてのレポート「女性・ビジネス・法律2022」で、日本が80位から103位に順位を落としたことが話題になった。

4月からは改正女性活躍推進法に基づく女性活躍行動計画の策定や、男女の平均継続勤務年数の差異といった情報公表義務の対象が、従業員301名以上の企業から101名以上に拡大される。

同時に始まるのが、改正育児・介護休業法による男性の育児休業取得の後押しだ。

先の世界銀行のレポート公表にあたり、カーメン・ラインハート世界銀行グループ上級副総裁兼チーフエコノミストは、

「女性が家庭で不平等な立場にある限り、職場での平等を達成することはできない。公平な立場を確保し、子供を持つことで経済への全面的参加から締め出されることがないようにしてこそ、女性も夢や希望を実現できるようになる」

と述べている。女性が働きやすい環境に向けて、職場で、家庭で、さらなる改善が必要なのは言うまでもない。今回の調査が示すのは、まずは自身の認識を疑ってみる重要性だろう。

(文・竹下郁子

Popular

Popular

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み