ウクライナに対するロシアの攻撃を支持するために、約1000人のセルビアのナショナリストがベオグラードで行進した。一部の支持者は白い「Z」の付いた看板を掲げている。
Milos Miskov/Anadolu Agency via Getty Images
- ウクライナとロシアの紛争で、太字で書かれた「Z」という新しいシンボルが登場した。
- 「Z」の文字は、ウクライナに侵攻したロシア軍の戦車や軍用車両に描かれているのが目撃されている。
- 当初はロシアの勝利を表すものだったのだろうが、今では極右のシンボルとして使用されている。
ロシアのウクライナ侵攻を表す新たなシンボルが登場した。太字で描かれた白い「Z」だ。親ロシア派の極右デモ隊の看板やTシャツに描かれ、ロシアの戦車や軍用車両に描かれ、ロシアの侵略を支持する証しとなっている。
この数週間で、「Z」は軍事的なマークから、ロシアのウクライナ侵攻を支持する強力なシンボルになってしまった。そして、ロシアの民族主義者グループもこのマークを利用しているようだ。
2月、ロシアの戦車に描かれていた
「Z」の意味は不明で、公式の情報源によって確認されてはいない。
Alexander Ermochenko/Reuters
「Z」は2022年2月22日、ウクライナのドネツク州に進入するロシア軍車両で初めて見られた。
Twitter上では、戦車に描かれた「Z」マークは、四角形や三角形などで縁取られたものが多く、集団を識別するためのものではないかと推測されている。
ガリーナ・スタロヴォイトワ・フェローとして政策シンクタンク 「ウィルソン・センター」 で人権と紛争解決を研究していたカミル・ガリーエフ(Kamil Galeev)は、「Z」をロシア語で「勝利」を意味する「za pobedy」の略だと解釈する人もいるとツイートした。また、「Z」は「zapad(西)」の略で、西へ向かう兵士を意味すると推測する人もいる。(訳注:ガリーナ・スタロヴォイトワは1998年に暗殺されたロシアの政治家)
「Z」は、ロシア軍がウクライナに向けて出発する車両に付けている文字だ。 「Z」を「Za pobedy」(勝利)と解釈する人もいる。 その他には「Zapad」(西)も。 とにかく、ほんの数日前に発明されたこのシンボルは、新しいロシアのイデオロギーと国民的アイデンティティのシンボルになった。
このシンボルの意味について、ロシア軍当局からの情報はない。
ロシアのナショナリズムの象徴であり、プーチン大統領を支持する叫びでもある
「Z」が、ウクライナを侵攻するロシアの軍用車両の前面に表示されている。
Alexander Ermochenko/ Reuters
「Z」は、ロシア語のアルファベットであるキリル文字には含まれていないにもかかわらず、ロシアの中に広く織り込まれているように見える。
ロシア各地で「Z」をつけた車が目撃され、企業も「Z」のシンボルを採用した。
事業主がトラックに侵攻への支持を表明する「Z」を掲げることもある。これは、ある葬儀社がZのメッセージを全面的に支持している様子だ。
3月4日、ベオグラードでは、行進する親ロシアの群衆が「Z」が書かれた看板を振った。
ロシアの民族主義者はウクライナとの戦争を支持して集結している
同様に、レニングラードではロシア民族主義者たちが「We don't give up our own」という言葉とともに白い「Z」が描かれたパーカーを着ている動画を撮影した。このビデオがいつ撮影されたかは不明だが、3月の第1週にソーシャルメディアに現れた。
このスローガンは、侵略はウクライナを「解放」し「脱ナチス」するためのものであり、ユダヤ人大統領が率いる独立統治民主国家であるというロシアの誤ったプロパガンダの主張と呼応するものである。
このスローガンは、侵攻はユダヤ人の大統領が率いる独立統治民主国家であるウクライナを「解放」し「脱ナチス」するためだというロシアの誤った宣伝文句を繰り返すものだ。
ロシアの体操選手がユニフォームにテープで「Z」を書き、メダルセレモニーに現れた
ロシアの体操選手、イワン・クリアックは、カタールのドーハで開催された体操ワールドカップの表彰式で、ユニフォームの前面に「Z」マークをテープで描いた。1位はウクライナのイリア・コフトゥン(Illia Kovtun)だった。
記録として。 プーチンだけではない。
写真はドーハで開催された体操ワールドカップでのロシア人選手イワン・クリアク。Zの文字が付いたTシャツを着て、ウクライナでのロシアの侵略を支持していることを示している。
国際体操連盟は、体操倫理財団にクリアクの行動を調査するように要請した。
プーチン支持派の人物もこのシンボルを身に付けた。アメリカでスパイ行為によって有罪判決を受け、現在ロシア連邦国家院の議員であるマリア・ブティナ(Maria Butina)は、ブレザーを脱いで襟に「Z」を描く映像を公開した。
マリア・ブチナの日常。
ウクライナ侵攻への連帯を示すために襟に白い「Z」マークを描く。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)