Spotifyの炎上騒動で大物ミュージシャンが撤退…「プラットフォームと倫理観」は両立するのか【音声付・入山章栄】

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

音声配信サービスSpotifyのポッドキャスト番組で新型コロナに関する誤った情報が配信され、ミュージシャンが楽曲を引き揚げるという炎上騒動がありました。プラットフォームは倫理観を保てるものなのでしょうか。入山先生が経営理論から読み解きます。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:9分12秒)※クリックすると音声が流れます


ニール・ヤングやジョニ・ミッチェルがSpotifyへ抗議

こんにちは、入山章栄です。

みなさんはSpotifyやApple Musicなどの音楽アプリを使っていますか? 今回はBusiness Insider Japan編集部の小倉宏弥さんが愛用しているというSpotifyに関する興味深い話題です。


BIJ編集部・小倉

BIJ編集部・小倉

先日、ミュージシャンのニール・ヤングやジョニ・ミッチェルが、音楽アプリのSpotifyから自分の楽曲を配信する権利を引き揚げたというニュースがありました。Spotifyが配信している人気ポッドキャスト番組の中で新型コロナに関する誤った情報が流れているのに、それを同社が野放しにしていたことへの抗議だそうです。

この場合、Spotify側が考えられる対応には2つあったと思います。ニール・ヤングたちの楽曲を消すか、あるいはポッドキャスト番組のほうを停止するか。実際にはポッドキャスト番組のほうを残して、ニール・ヤングたちのほうの楽曲を消した。その代わりコロナの誤った情報が流れないように、正しい情報に導くようにしたんですね。

これを見ていて思ったのですが、これだけコンテンツが爆発的に増えている中で、Spotifyのようにさまざまなコンテンツを集めるプラットフォームが倫理観を保つのは難しいのではないでしょうか。入山先生はこの一連の動きをどうご覧になりますか。


「プラットフォーマーと倫理観」というのは、とても重要かつ面白いテーマですね。

結論から言うと、僕は今の世の中で起きることに正解はない、と理解しています。このような時代では、ユーザーは自分の主観に合った倫理観を持つプラットフォーマーの中から、使いたいところを選ぶ時代になるのだと思います。

このイシューを考えるときのポイントは2つです。2つの経営理論を組み合わせて、詳しく説明しましょう。

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