2015年3月26日、ロシアのシベリアの都市クラスノヤルスクの北にあるロスネフチ社の油田で働く従業員。
REUTERS/Sergei Karpukhin
- 石油を含むロシアのエネルギー輸入を禁止すると、ジョー・バイデン大統領が3月8日に発表した。
- ウクライナ侵攻に対してロシアを制裁するアメリカの最新の動きだ。
- しかし、アメリカと違って欧州はロシアから多くの石油を輸入している。
アメリカのジョー・バイデン大統領は2022年3月8日朝(現地時間)、今後、原油やガソリン、ジェット燃料などを含むエネルギー関連製品をロシアから輸入しないことを発表した。
バイデン大統領は、この予想された動きを発表する際に「我々はプーチンの戦争に補助金を出すことはない」と述べた。
これは、2月末のウクライナ侵攻に反対して、ロシア経済を衰弱させるためのホワイトハウスの最新かつ最も大胆な措置だが、他の国がこれに参加しなければ、その効果は限定的なものになるかもしれない。
アメリカは、欧州連合(EU)やイギリスなどの同盟国とともに、ロシアへの航空便の運航禁止や中央銀行関連の資産凍結など、さまざまな制裁を行っている。その結果、ロシアの通貨ルーブルの価値は暴落し、国民や企業は世界の金融ネットワークから弾き出されている。
しかしその結束は、今回のエネルギー輸入禁止までは及ばないだろう。バイデン大統領は、EUはこの制裁に加わらないと述べている。
「ヨーロッパの同盟国やパートナーの多くが、これに加わる立場にないことを理解した上で、この輸入禁止を行う」
「しかし、我々はヨーロッパと緊密に協力し、彼らのロシアのエネルギーへの依存を減らすための長期的な戦略を進めている」
アメリカエネルギー情報局(EIA)によると、アメリカは主にカナダ、メキシコ、サウジアラビアからエネルギー(原油、およびガソリン、石油、ジェット燃料などの精製品)を輸入している。2021年には、アメリカの石油輸入全体の10%弱がロシアからの輸入だったと、ホワイトハウスの高官が3月8日に述べている。EIAによると、これはアメリカの石油消費量全体のわずか3%だ。
しかし、ヨーロッパはロシアのエネルギーへの依存度がもっと高い。欧州委員会によると、欧州のガス輸入の半分近くがロシアからであり、ホワイトハウスの高官はヨーロッパ大陸の石油輸入の3分の1近くがロシアからであると述べている。
そのため、欧州委員会のフランズ・ティマーマンス副委員長は3月8日の記者会見で、EUは「プーチン大統領に害を与えるよりも、我々自身に害を与える」ことなしに、ロシアからのエネルギー輸入を全面的に止めることはできないと述べた。
この格差は、アメリカがロシアの石油輸入を禁止しても、ロシア経済にそれほど大きな影響を与えない可能性があることを示唆している。
しかし、欧州委員会は、ロシアのエネルギーへの依存を減らすための計画を発表した。「RePowerEU」と名付けられたこの計画は、1年以内に欧州のロシアからのエネルギー輸入への依存度を劇的に減らすことを意図している。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「この取り組みは、ガス供給の多様化、再生可能エネルギーの導入の加速、エネルギー効率の改善、暖房および電力におけるガスへの依存低下をもたらす」と述べた。また、「年末までにロシアのガス需要を2/3に減らすことができる」とも述べている。
これに対し、ロシアのプーチン大統領は、ヨーロッパへのエネルギー輸出を断つと脅している。
[原文:A US ban on Russian oil imports may have little effect on Putin's economy unless others follow suit]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)