韓国の大統領選挙で、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補が当選した。
Song Kyung-seok/Pool via REUTERS
- 韓国の新大統領にドナルド・トランプに例えられる尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が選出された。
- 彼の公約の中には、女性家族省を廃止するというものがあり、物議を醸している。
- 韓国のTwitterで「カナダ移住」がトレンドになるなど、人々は国を離れる方法について議論を始めた。
ドナルド・トランプ氏に例えられる保守派の候補者が韓国の新大統領に選出されたことで、「カナダ移住」が韓国のTwitterのトレンドになった。
近年で最も接戦となった大統領選で、政治経験のない元検察トップの尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏(61)が、リベラル派の与党候補、李在明(イ・ジェミョン)氏(57)を破った。
尹候補の勝利により、一部の韓国人は移住を考えるようになったようだ。というのも、Twitterで3月10日に「カナダ移住」という言葉がトレンドになっていたからだ。Twitter分析サイトの「GetDayTrends」は、この話題について、その日の早い時間に1万6000件近いツイートがあったと報告した。
これらのツイートは、2016年のアメリカ大統領選でトランプ氏が主要州で勝利した際、カナダの移民サイトがクラッシュしたことを彷彿とさせるものだった。
「カナダ移住」がTwitterのトレンドに上がっている
またIm_not_pencilというユーザーは韓国語でつぶやいた(現在は削除されている)。
「カナダに移住するために、英語を勉強してお金を貯めなければ。もうこんなバカなところにはいられない」
別のユーザー、Allow_opinionはこう書いている。
「みんな、がんばろう!移民しよう!カナダでもどこでもいいからまた会おう」
1013653778_は、カナダに移住するためのアドバイスを共有した。
「英語学習が必須。IELTSスコア5.5以上があると良い」
IELTSは英語の能力を測る検定試験だ。
尹氏に非難的な人々は彼を「韓国のトランプ」と呼んている。最近のKorea Heraldの社説では、「他国を攻撃するような発言をし、物議を醸した政治家を称賛し、外国人の後追いをし、フェミニズムに対する理解が乏しい」 と指摘している。
AFPによると、尹氏は女性は制度的な性差別を受けていないと主張し、女性家族省を廃止することを選挙公約として、物議を醸している。彼は「公然の反フェミニスト」であるとAFPは述べている。
韓国は、労働力における女性の役割と影響力を測るエコノミストの「ガラス天井指数」で、OECD(経済協力開発機構)加盟29カ国の最下位だ。
彼はまた、選挙期間中に「元独裁者を賞賛することから、肉体労働とアフリカ人を軽蔑することまで、多くの失言をした」とAFPは報じた。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、尹氏は、必要であれば北朝鮮に先制攻撃を仕掛けると発言しており、過度に挑発的であるとの指摘を受けている。AFPによると、尹氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長を「無礼な少年」と表現し、選挙に勝てば金委員長に「態度を改めさせる」と述べたという。
SCMPによると、彼は自国での反中感情の高まりを受けて、アメリカとの関係の緊密化も公約している。
アメリカのバイデン大統領は3月10日、尹氏に電話をかけ、当選を祝福した。
ホワイトハウスの報道官は、「アメリカと韓国の経済、そして国民の間の同盟関係は鉄壁だ」と述べた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)