台湾軍の式典で演説する邱国正国防部長。2021年12月28日、台北で。
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- ウクライナ侵攻が起こったことで、中国も近いうちに台湾を武力で奪うつもりなのではないか、という憶測が広がっている。
- 台湾は「非対称戦争」に向けて、ウクライナでの戦争を研究している。
- ただし台湾の国防部長は、通常と異なる中国軍の配備は確認していないと述べている。
台湾は「非対称戦争(軍事力が大きく異なる当事者間の戦争)」に備えて、ウクライナ人がロシアの侵略をどのように抑えているかを研究していると、邱国正国防部長は2022年3月10日、同国の国会議員に向けて語ったという。
同氏は、議会でウクライナ侵攻の影響に関して報告し、その後の会見で「台湾軍は、ウクライナ軍がいかにして自国が戦場となったことの優位性や認知戦(メディア等を利用して人間の認知領域に働きかける新たな戦争形態)の経験を活用しているのかを研究しており、その学びを非対称戦争の計画に取り入れようとしている」と述べたと、FTVニュースが報じた。
ロシアのウクライナ侵攻以来、台湾を自国の領土と主張する中国が、この機会に台湾を攻撃するのではないかという憶測が広がっている。
中国と台湾はともに、ウクライナ侵攻と台湾の問題は関係ないと強調し、両政府の代表は、これらを比較するのは不適切だと述べている。
一方で、台湾の呉釗燮外交部長は、ウクライナの抵抗を「権威主義的な権力からの脅威や強制に直面している台湾の人々にインスピレーションを与えるもの」と述べている。
アメリカは台湾への支援を強化している。ジョー・バイデン大統領の意向を受けて、元政府高官から成る代表団が3月2日に台北を訪問し、蔡英文総統と会談した。マイク・マレン(Mike Mullen)元統合参謀本部議長は「アメリカは現状に対する一方的な変更に反対し続ける」と述べた。
台湾国際放送(RTI)が報じたところによると、3月10日の会見で邱国防部長は、中国本土の「通常と異なる」軍の配備は確認していないと述べ、これは中国政府が習近平政権の3期目に向けて、中国本土の安定維持に注力しているからではないかとの見方を示した。
また、戦争はすべての当事者にとって悲惨なものであるとも付け加えた。中天新聞が公開した動画によると、同氏は「誰も戦争はしたくない」と語っている。
「ひとたび戦争になれば、誰もが悲惨な目に遭うだろう」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)