ロシアの新興財閥｢オリガルヒ｣の歴史…彼らが制裁を受ける理由は

• アメリカとEUの対ロシア制裁では、富裕層の｢オリガルヒ｣をターゲットにすることが重要な位置を占めている。
• しかし、大金持ちであること以外に彼らを｢オリガルヒ｣に分類する理由はあるのだろうか。
• 彼らがどのようにして大金を稼ぎ、なぜ｢プーチンの側近｣と呼ばれるようになったのだろうか。

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このところ、ロシアの富裕層がアメリカやEUの制裁の対象となり続けていることから、｢オリガルヒ｣という言葉は億万長者と同じ意味で使われている

しかし、ロシアのオリガルヒと呼ばれるには、スーパーヨットを所有するのに十分なお金を持っていること以外に、何が必要なのだろうか。

オリガルヒとは一般には｢寡頭政治｣、つまり権力を持つ少数の支配者のことであると定義されている

しかし、ロシア政界では、ソビエト連邦崩壊後に莫大な富を築いた十数人の有力者を指す言葉として、1990年代に初めて使われるようになった

何が起こってオリガルヒは生まれたのだろうか

ソビエト連邦崩壊後、ロシア経済は混乱に陥っていた。当時のエリツィン大統領率いる政府は、資本主義への移行を目指し、経営状態の悪い国有企業の民営化を進めようとしていた

これを実現するための株式貸付制度を通じた国営企業の民営化が｢loans for shares｣と呼ばれるもので、1994年にオネクシム銀行（Onexim bank）が導入したアイデアだ

ロシアの銀行は、国有企業の株式を一時的に取得する代わりに政府に資金を貸し付け、その株式は不正なオークションで投資家に格安で売却された。もし政府が債務不履行に陥れば、銀行はその株式を手に入れることができる

その結果、投資家の中には、オネクシム銀行の社長だったウラジーミル・ポターニン（彼は現在、ロシアで最も裕福な人物と言われている）のような人物が、信じられないほど裕福になった。

1999年にプーチンが政権の座につくまで、ポターニンのようなオリガルヒは政治的、経済的に大きな影響力を維持していた。もっとも影響力のあった ｢エリツィン時代｣ のオリガルヒには、現在制裁を受けているミハイル・フリードマンとピョートル・アーヴェンがいる

プーチンは大統領に就任したとき、政府から汚職を排除することを約束した。この強い姿勢が、ミハイル・ホドルコフスキーやレオニード・ネフズリンといったオリガルヒを逮捕・追放することにつながった。

残ったエリートたちは、プーチン政権を支持せざるを得なかった。一方、新世代のオリガルヒがプーチン政権との関係を通じて富を蓄積し始めた

多くの場合、政府高官やその子どもたちが、国家が支援する企業の経営権を握っている。例えば、ロシアのダイヤモンド鉱山大手アルロサのCEOは、大統領特別代表のセルゲイ・イワノフの息子だ

｢プーチン時代のオリガルヒ｣として有名なのは、ロマン・アブラモビッチ、オレグ・デリパスカ、アリシェル・ウスマノフなどだ

ロシアのオリガルヒに制裁を加えることで、アメリカとその同盟国は｢プーチンの財布｣を断ち切ろうとしている。不満を抱いたエリート層がプーチンに圧力をかけて戦争を終わらせるかもしれないという期待もあるだろう。

これまで、欧米の資産が差し押さえられるなどの制裁を受けたオリガルヒの一部は、ウクライナの平和を訴えている。

しかし、オリガルヒが実際に軍事行動に対してどれだけの影響力を行使できるかは不明だ。専門家の中には、クーデターのようなことはできないだろうと主張する人もいる

Source: Washington Post

その間、制裁を受けたオリガルヒの名前は増え続けている。 バイデン大統領の言葉によると｢我々はヨーロッパの同盟国と協力して、あなたのヨット、豪華なアパート、プライベートジェットを見つけて差し押さえる｣という

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［原文：What is a Russian oligarch and why are they being sanctioned?］

（翻訳、編集：Toshihiko Inoue）