『スタンリー・トゥッチのイタリア食紀行』でパスタを食べる俳優のスタンリー・トゥッチ(左)と、筆者が作ったスパゲッティ・アッラ・ネラーノ(右)。
CNN, Josh Ong/Insider
- テレビ番組『スタンリー・トゥッチのイタリア食紀行』で、俳優のスタンリー・トゥッチは"人生を変えたパスタ"について語った。
- スパゲッティ・アッラ・ネラーノは、ズッキーニ、パスタ、バター、チーズがあれば作れるパスタ料理だ。
- 多少の辛抱強さは必要だが、その価値は十分にある。
CNNの『スタンリー・トゥッチのイタリア食紀行』を見ていた筆者は、トゥッチが「人生を変えた」と話したズッキーニのパスタが気になった。
スタンリー・トゥッチ。
Ernesto Ruscio/Getty Images
映画『ジュリー&ジュリア』への出演から回想録『Taste: My Life Through Food』の出版まで、スタンリー・トゥッチが料理に詳しいことは明らかだ。
パスタ好きの筆者としては、2月下旬にイギリスで放送された『スタンリー・トゥッチのイタリア食紀行』を見逃すわけにはいかなかった。
初回はナポリとアマルフィ海岸が中心で、トゥッチがネラーノ湾にあるレストラン「ロ スコーリオ(Lo Scoglio)」を訪れたシーンが自分にとっては印象的だった。トゥッチはここで人生を変えるパスタ料理に出会ったと話した。この料理をあまりにも気に入ったトゥッチはそれ以来、このパスタ料理を「恋しく思い」、自宅で再現してみようとしたほどだという。番組ではシェフのトンマーゾ・デ・シモン(Tommaso de Simone)氏がキッチンでこの料理を作る様子をトゥッチは見ていた。
La Cucina Italianaによると、「スパゲッティ・アッラ・ネラーノ」という名前のこの料理は1952年に初めて作られ、カンパーニャ州にあるネラーノ村にちなんで名付けられた。
筆者はこの料理に使われている材料の少なさに驚いた。油で揚げたズッキーニをパスタと少量のバターとあえて、パルメザンチーズをかけるだけだ。
たった4つの材料でそんなに美味しいパスタ料理ができるのだろうか? 自宅でズッキーニを揚げ、柔らかくなるまで一晩待たなければならないとはいえ、試してみることにした。
トゥッチが愛するズッキーニのパスタを作るのに必要な材料は4つ
バジルは必須ではないが、いい飾りになる。
Josh Ong/Insider
スパゲッティ・アッラ・ネラーノを作るのに必要なのは:
- ズッキーニ(1人あたり約1本)
- スパゲッティ
- バター(小さじ1)
- パルメザンチーズ ※仕上げに
- ヒマワリ油 ※ズッキーニを揚げるのに使う
トゥッチは番組で詳しいレシピを説明していなかったので、筆者は作りながら調整した(その後、CNNのウェブサイトでロ スコーリオのシェフのレシピを見つけたので、そちらを参考にしてもOK)。
ズッキーニを1センチほどの厚さに切る
Josh Ong/Insider
筆者の経験から、ズッキーニは薄く切り過ぎると揚げた時にすぐ焦げてしまうので気を付けよう。
ヒマワリ油を入れた鍋でズッキーニを揚げる —— ズッキーニが隠れるよう油は十分に使おう
Josh Ong/Insider
調理用の温度計があれば、ズッキーニを入れる前に油の温度が約200度になっていることを確認しよう。温度計がない場合は、油に入れたズッキーニがすぐにジュージューと音をさせ、泡立つかどうかをチェックしよう。
黄金色になるまで時々かき混ぜながら揚げる
Josh Ong/Insider
黄金色になるまで揚げても、パリパリになり過ぎることはない。
何度かに分けて揚げた方がうまくいく。
ズッキーニを全て揚げ終わったら粗熱を取り、冷蔵庫で一晩休ませる
Josh Ong/Insider
番組ではトゥッチとシェフはクッキングシートを使って余計な油を取っていたが、穴の開いたスプーンを使ってもうまくいった。
一晩休ませたズッキーニを鍋に移し、中火~弱火で温め直す
Josh Ong/Insider
一晩寝かしたズッキーニは色に変わりはないものの、柔らかくて、いい香りがするはずだ。
ズッキーニを温め直しながら、パスタもゆでる(パッケージに書いてある調理時間よりも1~2分短めに)
パスタをゆでる時は塩を加えるのも忘れずに。
Josh Ong/Insider
ゆで上がったパスタはズッキーニとあわせて仕上げるので、ここでのゆで時間は少し短めにしておこう。
スパゲッティ以外のパスタを使ってもOKだが、水分の少ないこのパスタソースには麺状の細長いパスタの方が合うだろう。
ズッキーニはジャムのように形が崩れ始めるまで、5分ほど火を加える
Josh Ong/Insider
鍋底にズッキーニが焦げ付かないよう、少量の水を使ってもいい。
パスタがゆで上がったら湯を切ってズッキーニの鍋に入れ、バターとパスタのゆで汁(シェフのレシピではおたま2杯)も入れてよく混ぜる
ザルを使わず、そのままパスタを鍋から移してもOK。
Josh Ong/Insider
麺にズッキーニやバターがよく絡むまでよく混ぜよう。
ソースがドロッとし過ぎていたら、パスタのゆで汁をもう少し加えてみよう。
パスタを皿に盛ったら、パルメザンチーズをたっぷりかけて完成
トングとおたまを使うと、きれいに盛り付けられる。
Josh Ong/Insider
バジルも飾ってみた。
筆者はその美味しさに衝撃を受けた —— もちろん、また作るつもりだ
Josh Ong/Insider
筆者はこの料理の美味しさに、本当に感激した。ジャムのような濃厚なズッキーニのソースには甘みがあり、パスタによく絡む。そこにパルメザンチーズとバターが入ることでクリーミーに仕上がり、最高の一皿になった。
ズッキーニを油で揚げて一晩寝かせるという手間はかかるものの、この素晴らしい出来を考えればやる価値はある。
こんなに美味しい料理がたった4つの材料から作れるなんて信じられない。だが、それが伝統的なイタリア料理というものだ —— シンプルで質の良い材料をうまく調理する。
ズッキーニの旬も近い。筆者はまたすぐにこの料理を作るだろう。
(翻訳、編集:山口佳美)