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学生の“官僚離れ”は止められるか?国家公務員試験「受験者の減少は危機的状況」

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国家公務員の試験の申込開始が迫っている。

撮影:横山耕太郎

3月18日から、2022年度の国家公務員採用試験の申込みが始まる。

しかし、霞が関の現状は厳しい。中央省庁の幹部候補を採用する国家公務員採用総合職試験の受験者数は5年連続で減少している。

2021年度の申込者数(春・秋合計)は、前年度比2515人減(12.6%減)の1万7411人で、現在の試験の形になった2012年度以降では、最大の落ち込みだった。

歯止めが効かない「人気低下」に、危機感を募らせる霞が関。人事院は国家公務員の志望者を確保するため、新たな策を講じているものの、学生を振り向かせるのは簡単ではない。

人事院「危機的な状況」

応募人数のグラフ。

国家公務員・総合職試験の申込者の数は減少が続いている。

人事院の資料を撮影

「5年連続で申込数が減少している危機的状況であります。採用試験では、申込者数をいかにして増やすかという観点から検討を進めています」

人事院の試験課長・澤田晃一氏は2022年3月11日、国家公務員採用試験に関する記者会見でそう話した。

人事院では受験者を増やすための対策として、2022年度から二つの取り組みを実施する。

まずは総合職試験の申込み受付を1週間前倒し、受け付け期間を1週間拡大する(応募はインターネットで3月18日~4月4日に受け付ける)。

申込み期間の延長はどこまで効果があるのか、人事の担当者はBusiness Insider Japanに対し、こう答えた。

「地方自治体の話ではありますが、コロナの影響で申し込みの期間を延長した結果、申し込みが増えたという例もある。受験者がより応募しやすくなる形を考えた」(人事院担当者)

二つ目の取り組みは、理系の学生が試験を受けやすくするため新たな試験区分「デジタル区分」を設けること。

「情報系学問を専攻している学生は従来、『工学』の試験区分を受けていた。今回『デジタル』区分が新設されることで、自分が専攻している分野で受験が可能になる試験を受けやすくなる」(人事院担当者)

ただ、民間企業でもデジタル知識をもつ理系人材の新卒採用を強化しており、理系人材は売り手市場が続いている。受験区分の新設によって、理系人材からの申し込みがどの程度増えるのかは未知数だ。

「試験を変えただけでは…」

夜の霞が関

霞が関の課題は、官僚の志望者の減少だけではない。

撮影:今村拓馬

人事院が作成した大学生らを対象にした採用パンフレットでは、男性育休を含めたワークライフバランスに関する制度説明や、海外留学など人材育成の紹介にもページを割いている。

「より魅力的な勤務環境を創出するような努力をしている。また先輩職員たちがどのように働いているのかを紹介しながら魅力を伝えることで、申込者数を増やしていきたい」(人事院担当者)

ただ、こうした取り組みについて30代の若手官僚はこう語る。

「まずは若手の職員が辞めてしまっている霞が関を変えないといけない。試験を変えただけでは、学生へのインパクトはない」

この若手官僚が指摘するように、志望者の減少だけでなく、霞が関が抱える大きな課題の一つが官僚の人材流出だ。

内閣人事局が2019年11月~12月、国家公務員に実施したアンケート調査では、30歳未満の男性国家公務員では7人に1人(14.7%)が「数年以内」に辞職意向と答えており、若手の離職問題が深刻化している。

アンケートでは「数年以内に離職意向がある」とした職員に、その理由を質問。顕著だったのは「もっと自己成長できる魅力的な仕事に就きたい」(男性が49.4%、女性が約44.4%)と「長時間労働で仕事と家庭の両立が難しい」(男性が34%、女性が47%)という結果だった。

人事院らの若手チーム結成

二之湯大臣ら

二之湯智・国家公務員制度担当相(中央)に中間報告をする若手官僚のチーム。

撮影:横山耕太郎

若手官僚の離職に加え、学生の官僚離れが進む一方で、霞が関の働き方を変えようとする若手官僚もいる。

人事局と内閣人事局で働く官僚8人による「未来の公務を考える若手チーム」もその一つ。このチームは2021年10月、当時の国家公務員制度担当相・河野太郎氏と人事院総裁の川本裕子氏が設置し、これまで働き方についての課題や提言を話し合ってきた。

若手チームの構成メンバーはほぼ30代前半で、彼らの年代は「離職する若手職員のボリュームゾーン」でもあるという。

若手チームではこれまで、「なぜ離職に至ったのか」など、40人以上の元官僚にヒアリングを続けてきた。若手チームメンバーの一人はこう話す。

離職してしまった官僚は、組織が変わらないことへの絶望を感じていました。私たち官僚にとっては他人事ではなく、一歩でも前に進まないといけないと感じています」

若手チームは2022年3月11日、二之湯智・国家公務員制度担当相と人事院総裁の川本氏に、これまでの検討内容について中間報告を実施。取材に応じた二之湯大臣は記者団にこう話した。

「新しく公務員を目指す人が少なくなってきている。公務員試験を受けようかと思えるような、提言を出してもらいたい。彼ら(若手チーム)自身も危機感を持っている。その危機感をもって霞が関を変えていってもらいたい」


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(文・横山耕太郎

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