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- 大退職をした労働者のほとんどが、生活の質が高まったと回答していることが新しい調査によって明らかになった。
- ほとんどの人がより良い給料、より多くの機会、より柔軟性のある新しい仕事をすぐに見つけた。
- 福利厚生は依然として難しい状況で、新しい職場の方が福利厚生が充実していると答えたのは半数以下だった。
大退職は、ほとんどの労働者にとってかなり良い結果になったようだ。
これは仕事を辞めた理由と、辞めた後どうなったかを尋ねたピュー研究所(Pew Research Center)の最新の調査によるものだ。その結果、より良い状況を求めて自ら退職した人は、概して良い仕事を見つけていることが分かった。
ピュー研究所が2022年2月7日から13日にかけて実施した、仕事をしているアメリカの成人6627人を対象に調査には、過去1年間に仕事を辞めた人が965人含まれていた。退職の主な理由としては「給料が安い」「昇進の機会がない」「職場で軽視されている」といったことが挙げられていた。
また、子育ての問題や仕事の柔軟性の欠如も、多くの人に影響を与えていることがわかった。
仕事を辞めた人の多くは、すぐに次の仕事を見つけたと言い、半数以上の人が、現在フルタイムで雇用されているという。また61%の人が転職先を見つけるのは比較的簡単だったと回答している。
また転職した人たちは、生活の質も向上していることが分かった。56%の人たちは「収入が増えた」とし、53%が「出世の機会が増えた」と回答している。また53%の人が「仕事と家庭の両立がしやすくなった」とし、50%の人が「仕事のスケジュールがより柔軟になった」と回答している。
ピュー研究所の調査によると、難点の一つは、福利厚生にあるようだ。退職した人の42%だけが「今の職の方が福利厚生が充実している」と回答し、36%の人たちは「健康保険や有給休暇などの福利厚生の状況はほとんど変わらない」としている。また4分の1近くの労働者が、前の職よりも福利厚生が悪化していると回答している。
大退職が始まって1年が経った
アメリカ労働省労働統計局(Bureau of Labor Statistics)のデータによると、「大退職」は2021年春から始まって1年を通じて続き、2021年11月だけで450万人の労働者が退職するという記録的な事態となった。
実際、これだけ多くの人が退職するというニュースは、仕事を辞める気のない人にまで影響を与えたかもしれないとInsiderは報じている。
異常に高い退職率によって、さまざま業界が人手不足となり、空いてしまったポジションの補充が急がれている。例えば、就職情報サイトのCareerBuilderでは、2021年2月に約100万件だった月間求人広告数が、2022年2月には180万件超に急増したという。
看護職とカウンセラー職の求人は、過去2年間で3桁の増加率となっていると、2022年3月9日にCareerBuilderは述べている。その他、接客業、小売業、外食業なども2021年を通して一貫して高い辞職率を示している。
ピュー研究所の調査結果は、過去1年間に離職した人々のコメントと一致している。あるICU担当の看護師は、パンデミックを経験したことで、よりストレスの少ない職場を求めて退職したとInsiderに語っている。ある教職員は、配管工の見習いになるために10年以上勤めた職場を辞めた。リモートでの授業は自分には向いていないとInsiderに話している。また何人かの保育士は、より良い賃金を求めて退職したとInsiderに語った。
マーティ・ウォルシュ(Marty Walsh)労働長官は、「多くの人が自分を高めたいと考えているのだと思う」と以前Insiderに話している。
「彼らは今の仕事を辞め、より給料の高い仕事や多くの機会を求めている」
[原文:Most people who quit their jobs during the Great Resignation say it was worth it]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)