飼い猫を抱くイリナさん。ハリコフからポーランドのプシェミシルに避難してきた。
John Haltiwanger/Insider
- ロシアによるウクライナ侵攻を受け、多くの人々がペットと一緒に避難している。
- 2月下旬にロシアが侵攻して以来、これまでに300万人以上がウクライナを離れた。
- 多くの人々がペットと一緒に避難をしていることから、国境検問所ではボランティアが無償でペット向けの診療サービスを提供している。
ウクライナの国境に近いポーランド南東部のプシェミシルでベルリン行きの鉄道が出発するのを待っていたイリナさんは、戦争で荒廃したハリコフの自宅から一緒に避難してきた2匹のねこに慰められていた。
イリナさんはねこたちをカゴに入れ、1100キロを超える旅をともにしてきた。
Insiderの取材に、自分は"難民"と見られたくはないと語った。イリナさんはシェフで、ただ仕事をしたいと望んでいる。ラストネームを明かさないことを希望したイリナさんは、ウクライナから避難してきた多くの人々同様、家族を国に残してきた。彼女の夫は今もウクライナにいて、軍に召集されるのを待っている。イリナさんは2人の息子 —— ロスティスラフくん(10)とウォロディミルくん(6)を連れていた。
「ウクライナのために祈ってください」とイリナさんは話した。
イリナさんと2人の息子たち。ねこも一緒だ。
John Haltiwanger/Insider
ポーランドやハンガリーといった近隣諸国に避難した多くのウクライナ人は、ペットと一緒だ。ロシアによる侵攻で、ペットたちも"難民化"し、飼い主とともに辛く危険な旅をしている。
ゼナイダ・マツニエバさんは家族7人と飼い犬「モリ」とともに、ロシア軍にヨーロッパ最大の原子力発電所を攻撃されたザポロジエ(ザポリージャ) から避難してきた。ウクライナ西部のリヴィウへ向かう途中、一家の乗った鉄道は空襲警報で一時停車し、恐怖を感じたという。1週間以上をかけて、マツニエバさんと家族はポーランド東部のルブリンの駅にたどり着いた。
飼い犬のモリを抱くゼナイダ・マツニエバさん。
John Haltiwanger/Insider
多くの避難民とそのペットが似たような厳しい状況に置かれている。
3月12日、キーウ(キエフ)から避難してきたのはマリーナさんだ。爆弾の破片が自宅に当たったという。
ハンガリーの首都ブダペストにあるブダペスト・ケレティ駅でInsiderの取材に応じたマリーナさんは、自分たち一家は犬、猫、6カ月の男の子を連れてスロバキアを経由してハンガリーにやって来たと話した。これからドイツのミュンヘンへ向かうつもりだという。現地に知り合いはいないが、難民を歓迎していると聞いたからだ。マリーナさんもラストネームを伏せることを希望した。
300万人以上のウクライナ人とともに多くのペットが国外へ避難していることを受け、ポーランドの国境検問所や交通拠点ではボランティアが無償で怪我をしたペットの治療といった診療サービスを提供し始めた。難民を支援するハンガリーのボランティアグループは、犬・猫用のキャリーケースの寄付をソーシャルメディアで呼びかけた。欧州連合(EU)は加盟国に対し、ウクライナ難民に対するペット関連の旅行制限を解除するよう強く推奨している。
キーウから避難してきたマリーナさんの飼い犬(右)。
Haven Orecchio/Insider
飼い犬のスタシアを抱くビクトリアさんは、ホストメリから避難してきた。
Haven Orecchio/Insider
ビクトリアさんと3人の子どもたち、飼い犬の「スタシア」はキーウ近郊のホストメリから3月3日に避難してきた。自宅近くで爆撃や銃撃があったからだ。ビクトリアさんは飼い犬について「この子は子どもみたいなものです」とブダペストでInsiderに語った。
「この子はわたしたちと常に一緒です。とてもやんちゃな子です」
「戦争が始まってから、なかなか言うことを聞かなくなってしまいました。移動続きで、怖がっているからです」とビクトリアさんは話した。一家はブダペストからポルトガルへ向かう予定で、教師をしていたビクトリアさんは現地で仕事を見つけたいと考えている。
[原文:Many Ukrainians fleeing the war are finding comfort in the pets they've brought along]
(翻訳、編集:山口佳美)