フロリダにあるNASAのケネディ宇宙センターのシャトル組立棟で、作業台が外されたアルテミス1号スペースローンチシステム。(2022年3月11日撮影)
NASA/Frank Michaux
- NASAの新しいメガロケットが3月17日に初めて発射台に設置された。
- NASAは宇宙飛行士を月に送り込み、そこで基地を作るため、スペースローンチシステムを設計した。
- 今回のロケットのロールアウトの模様はライブ中継された。6月の月へ向けた打ち上げの準備は整っている。
NASAは、月に戻るための最新メガロケットの建設に10年以上の歳月をかけ、そして30階建ての高さのロケットは2022年3月17日(現地時間)、ついに発射台に設置された。
シャトル組立棟で作業台が完全に外され、SLSの全体像が明らかになった。(2022年3月16日撮影)
スペースローンチシステム(SLS)は、自動車サイズのエンジン4基がついた巨大なコアステージ、2つのロケットブースター、先端に固定されたオリオン宇宙船で構成される。これはNASAの新しい月探査計画「アルテミス」の土台となるものだ。このSLSによって1972年以来初めて、宇宙飛行士を月に送り込む予定で、スペースXのスターシップを月着陸船として使う。NASAは最終的に、月面に基地を建設する計画だ。
だがNASAはまず、SLSが飛行できることを証明しなければならない。そして、アルテミス1号と呼ばれる1号機はテストを重ね、フロリダ州ケープ・カナベラルにあるケネディ宇宙センターで、組立棟から発射台に移動させた。
「この機体にとって、象徴的な瞬間だ」と、NASAの探査システム開発担当副長官のトム・ウィットマイヤー(Tom Whitmeyer)は、3月14日の会見で述べている。
NASAは、ロケットが組立棟から発射台へ移動する様子を初めてライブ配信した。
ロケットを4マイル離れた発射台まで運ぶクローラー・トランスポーターは、50年以上もロケットを発射台まで運んできたが、巨大なアルテミス1号を運べるように、大幅なアップグレードとテストが行われたという。
アルテミス計画の打ち上げディレクター、チャーリー・ブラックウェル・トンプソン(Charlie Blackwell-Thompson)は事前の記者会見で「シャトル組立棟の入口をアルテミスが通り過ぎる様子を見るのは、とても素晴らしいだろう。そして我々は初めて建物の外でその姿を見る。本当に息をのむような瞬間だと思う」と語っていた。
組立棟の上部から見たSLSとオリオン宇宙船。2022年3月16日撮影。
発射台に移されたアルテミス1号は次に、ウェット・ドレス・リハーサルを行う。これは、ロケットに燃料を充填し、発射10秒前までカウントして、発射直前に中止してタンクを空にするという8時間のプロセスを発射管制官が訓練するものだ。この試験は4月3日に予定されている。順調にいけば、NASAがアルテミス1号を初めて宇宙に飛ばすのは、早くて6月ごろになると見られている。
この最初のミッションは、オリオン宇宙船を月のまわりを飛行させ、地球に戻すもので、人間は搭乗しない。それがうまくいけば、次のミッションは同じルートを宇宙飛行士を搭乗させて行うものになる。
[原文:Watch NASA roll out its moon-bound megarocket for the first time on Thursday evening]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)