ビットコイン法定通貨化で生活に変化。国民の7割が銀行口座を持たないエルサルバドルで今起きていること

エルサルバドル

エルサルバドルでは小規模店舗にもビットコイン決済がかなり浸透している。

Alex Pena/Anadolu Agency via Getty Images

エルサルバドルのエルゾンテでピックアップトラックの荷台から飛び降りた私は、よくある海辺の町とは異なる雰囲気をすぐに感じ取った。

訪問者を歓迎する看板にはビットコインのロゴが2つ描かれている。カフェではビットコイン決済が75%オフで、ゴミ箱にはビットコインのエンブレムが印刷されている。

私はエルサルバドルの西海岸をヒッチハイクで移動していた。先月は世界最高峰の波でサーフィンを楽しんだが、ビットコインの中心地を探していたわけではない。偶然にもたどり着いてしまったというわけだ。

2021年9月、エルサルバドルがビットコインを法定通貨に定めたとき、私を含む多くの人が懐疑的な見方をした。ナジブ・ブケレ大統領は、レディット(Reddit)ばかり閲覧している仮想通貨トレーダーのごとく、国の財産を使ってハイリスクのギャンブルに興じているように見えた。

大統領は数百万ドル分のビットコインを買い込み、「7分差で底値を逃した」と文句を言っていた。その後ビットコインの価格は暴落し、財政に大きな損失をもたらした。試みは大失敗に思えた。

だが、実際の状況はそれほど単純ではない。ビットコインを使ったエルサルバドルの実験は、少なくともいくつかの点で成功する可能性がある。

「多くの人が初めて資産を手にした」

エルサルバドルにビットコインの波が押し寄せることになったきっかけはこうだ。

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