テニスの大坂なおみ選手。
REUTERS/Asanka Brendon Ratnayake
- 4度のグランドスラム優勝を誇る大坂なおみは、大手暗号資産取引所FTXと提携するスポーツ界のセレブリティに名を連ねることになった。
- FTXが2022年3月21日に発表したところによると、大坂選手はFTXの株式を取得し、暗号通貨で報酬を受け取るという。
- 暗号資産の未来により多様な声を反映させるというFTXの目標を、大坂選手がさらに推進してくれるだろうと同社は述べている。
暗号資産取引所のFTXは、4度のグランドスラム優勝を誇るテニス界のスター、大坂なおみ選手と提携した。FTXはそのプラットフォームにより多くの女性を取り込むために、スポーツ界のセレブリティによるマーケティング活動を多様化させている。
FTXが2022年3月21日に発表したところによると、大坂選手はFTXの株式を取得し、アンバサダーとしての報酬を仮想通貨で受け取るという。株式についての詳細や、どの仮想通貨が利用されるのかについては明らかにされていない。
「大坂なおみ選手との提携は、仮想通貨とWeb3の未来により多様な声を反映させるという我々の目標を、さらに推進させることになるだろう」と、同社のサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)CEOは声明で述べている。
大坂選手は、FTXと提携する最初の女性メジャープロスポーツ選手の1人だ。日本とハイチがルーツということも踏まえながら、世界中の視聴者に向けてコンテンツを制作していく。彼女は、今回の提携の理由の1つに、暗号資産に女性が参入する機会を高めることを挙げている。
「暗号資産の世界への女性の参入は、男性よりも少ないという統計がある。これは、他の金融市場でも見られる不平等を反映しているとも考えられる」と大坂選手は述べている。また、暗号資産は誰もがアクセスでき、参入障壁を取り除くことを目標としてきたことから、その原点に立ち返る必要があるとも述べた。
大坂選手は、暗号資産を普及させて収益化を図ろうとする最初のスター選手ではないものの、この分野に参入する新世代のプロスポーツ選手を代表する存在だ。
テニス界の伝説的存在であるセリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)や、NFLスーパーボウルで7回の優勝を誇るトム・ブレイディ(Tom Brady)も、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)などのバスケットボール界のスターと同様に、仮想通貨の取引を行っている。一方、大坂選手は若い世代の代表であり、現在もトップクラスのテニスプレーヤーだ。
彼女は近年、コート外での行動でもよく知られるようになった。社会正義の活動を支援する一方で、アスリートが直面する精神的なプレッシャーについて発言している。
長期契約の一環として、FTXは暗号業界の歩き方について大坂選手を指南し、彼女は特定の仮想通貨を取引し、投資することになる。ただし、それがどの通貨になるのかは明らかにされていない。彼女は2021年の夏、ドージコイン(DOGE)に関心を持っているとブルームバーグに語っている。
大坂選手はすでに、姉の大坂まり選手とともにNFT(非代替性トークン)の世界に足を踏み入れている。2021年夏に、ブレイディが創設したNFTプラットフォーム「オートグラフ(Autograph)」で、自身のサイン入りのNFTコレクションをリリースしたのだ。
オートグラフは、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz。略称A16z)などのベンチャーファンドなどから投資を受け、この1年で急成長を遂げた。ブレイディは引退してオートグラフに取り組む予定だったが、もう1シーズンプレーするためにNFLに復帰した。
ブレイディと妻でモデルのジゼル・ブンチェン(Gisele Bundchen)は、2021年6月にFTXと提携を結び、9月から始まるフットボールシーズンの間、FTXの2000万ドルのスポット広告の顔として登場した。
ブレイディは2022年3月19日に、イーサリアム(Ethereum)の考案者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)を「史上最高の人物(GOAT)」だと賞賛するツイートを投稿した。だがブテリンは、ブレイディのことを知らなかったという。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)