Taylor Rains/Insider
- ゲートグルメ(Gate Gourmet)は、世界200カ所以上にキッチンを持つ機内食の大手だ。
- 新鮮かつ健康的で美味しい機内食を提供するために、同社は衛生、調理に関する厳しいルールを導入している。
- ゲートグルメの機内食を試食した筆者は、独創性のある味とその見せ方に感心した。
筆者も含めて旅行が大好きな人ならエコノミー、プレミアムエコノミー、ビジネス、ファーストクラス… 座席の等級がどこであれ、機内食が出てくる長距離フライトを経験したことがあるだろう。
ドイツのコンドル航空のビジネスクラスの機内食。
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機内食を食べないという人も多いけれど、筆者は高さ3万5000フィートでも食事を楽しんでいるし、美味しいと感じる。
フランスの航空会社フレンチ・ビーのプレミアムエコノミーの機内食。
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以前は「どこから食べ物がやってくるの?」「店で見かける冷凍食品のように出来合いの料理なの?」と疑問に思っていた。
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ところが最近、筆者はほとんどの機内食が乗客の目の前に置かれる24時間以内にゼロから作られていると知った。
ゲートグルメのワシントン・ダレス国際空港のキッチン。
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こうした機内食を多く手掛けているのが、スイスのゲートグルメという会社だ。世界各地の空港に200以上のキッチンを持ち、年間何億食もの食事を提供している。
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アメリカのワシントンD.C.には同社の北米本部があって、ワシントン・ダレス国際空港の中のキッチンで作られた機内食はユナイテッド航空やブリティッシュ・エアウェイズ、エールフランス、ヴァージン・アトランティック航空などに提供されている。
ゲートグルメのワシントン・ダレス国際空港のキッチン。
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筆者はゲートグルメがメディア向けに開催した、ワシントン・ダレス国際空港の巨大キッチンの見学会に参加してきた。新鮮で健康的な美味しい食事を提供するための同社のきめ細やかなプロセスにわたしは感心した。
ゲートグルメのワシントン・ダレス国際空港のキッチン。
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キッチンに入る前から、スタッフや見学者は全員、白衣、マスク、ヘアーネットを着用しなければならない。そして全員が専用のマシンを使って手と靴を洗わなければならない。衛生管理はものすごく重要なのだ。
手を洗うスタッフ。
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メニューは料理長が航空会社と協力して作っていて、季節毎に変わることが多い。
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ワシントン・ダレス国際空港のキッチンだけで1日にじゃがいも500ポンド(約230キロ)、にんじん400ポンド(約180キロ)、鶏肉は最大で1000ポンド(約450キロ)をカットしている。
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下準備が終わったら、プロの料理人が厳密に決められたレシピと保管の手順に従って調理をし、料理を飛行機に届ける。
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例えば、温かい料理を作った時には、シェフは2時間で食べ物の温度を華氏70度(摂氏約21度)以下にし、さらに4時間で41度(約5度)以下にしなければならない。ブラストチラーという食品を冷却する機械を使っているという。
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十分に冷め切らなかった料理は廃棄される。ただ、ゲートグルメのエグゼクティブ・シェフ、バジル・ラフリーディー(Basil Rafreedie)さんによると、廃棄される料理は「あまりない」という。
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シェフがメインディッシュを用意している間に、他のスタッフがフルーツや…
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サンドイッチ…
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チーズといったサイドディッシュや軽食などを準備している。
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料理と食器の用意が全て完了したら、専用の部屋で飛行機に運び込まれるまで保管される。
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室内は冷えているので、料理は安全な温度に保たれる。
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時間になったら、専用のトラックで飛行機へと運ばれる。
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見学会ではゲートグルメ北米のキュリナリー・イノベーション担当のエグゼクティブ・シェフ、モリー・ブラント(Molly Brandt)さんに、どのようにして料理を開発しているのか、話を聞くことができた。
エグゼクティブ・シェフのモリー・ブラントさん。
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「ゲートグループは航空会社のケータリングに積極的に投資することを決定していて、わたしの仕事はオペレーションとは関係なく、あくまでも開発が目的です」とブラントさんは語った。
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つまり、ブラントさんの仕事は航空会社に提示する、革新的かつ独創性のあるメニューを作ることだ。メニューはそれぞれの航空会社の予算やブランド、その他の希望をもとに作られる。
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予算に合わない場合は、肉を入れるのをやめたり、もう少し安い野菜を使うなど、調整もできるという。
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見学会では、プレミアムクラスの機内食を一部試食することができた。
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ブラントさんとラフリーディーさんはベジタリアン(菜食主義者)向けのバターナッツかぼちゃのカスタードにひまわりの芽を添えたものや…
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ビーツのタルタル、麹ビネグレットソース…
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ピメントチーズのディップにキムチ、カニ、ベビーベジタブルを添えたもの…
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ビーガン(完全菜食主義者)向けのカシューナッツのカレースープ…
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代替肉インポッシブル・ミート(Impossible Meat)で作ったベジタリアン・ミートボールなどを用意してくれた。
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ブラントさんによると、上空では人の味覚能力が33%失われるため、香りや旨味の豊かな食材を使っているという。
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どの料理もものすごく美味しかったけれど、中でもビーツのタルタルには驚かされた。わたしは普段、ビーツが苦手だからだ。
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鮮やかな色使いも食欲をそそる。盛り付けも完璧だし、味の組み合わせも最高だ。
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良い意味で、機内食に対する見方が完全に変わった。
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工場でひとまとめにされ、どこか遠くから運ばれてくるのだろうと思っていた機内食が、実は空港でゼロから作られているのだ。
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清掃や衛生管理の基準、経験豊富なシェフが作っていることを考えたら、次のフライトで機内食を食べるのが楽しみでしょうがない。
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中には機内食が食べた過ぎて、店や飲食店で購入する人もいる。
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2020年には、フィンエアーがビジネスクラスにインスパイアされた料理をフィンランドのバンターにある食料品店で売り始めた。発売当初、前菜からメインディッシュまで5.9~12.9ユーロ(約820~1780円)で販売されていた。
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同社のフィンエアー・キッチン部門のバイスプレジデント、マリカ・ニエミエン(Marika Nieminen)氏によると、販売開始から2、3時間で100食売れたという。
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Source: CNN
2019年には、マレーシアの航空会社エアアジアが「サンタン(Santan)」という機内食だけを売るファストフード店を首都クアラルンプールにオープンした。
クアラルンプールの「サンタン」。
AirAsia
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エアアジアによると、サンタンはあれから「うまくいっていて」、マレーシアで15店舗以上展開しているという。2022年末までに世界各地で100店舗以上に広げる計画だ。
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(翻訳、編集:山口佳美)