3月22日の渋谷の様子。気温の低さが電力需給のひっ迫に拍車をかけている。
撮影:西山里緒
東京電力は、関東地方で電力需給が極めて厳しくなっていることから、このままの状況が続けば、3月22日夜20時以降に電力の調整役を担っている揚水式水力発電(※)の運転が停止し、約500万kW(200万~300万軒規模)の停電が発生する恐れがあると発表した。
※揚水発電:夜間に余った電力を利用して水を汲み上げ、その水を使って発電している。汲み上げた水を消費しきってしまうと、発電はできなくなる。
16時台の使用率は93%まで低下
3月22日、16時台の電力使用率は93%まで低下した。
東京電力パワーグリッド
政府は、3月16日に福島県沖で発生した地震や関東地方での気温の低下などを理由に、東京電力管内および東北電力管内に対して電力需給ひっ迫警報を発出し、22日の朝から節電を呼びかけている。
節電が必要な東京電力のサービスエリア:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県(富士川以東)
萩生田光一経済産業相も、22日午後に緊急記者会見を開催し、
「現在までの節電効果は150万kW程度にとどまり、目標としている水準を200万kW〜300万kW下回っている状況です。このままでは、残念ながらいわゆるブラックアウトを避けるために、広範囲での停電を行わざるを得ない状況が近づいています。15時〜20時までに追加的に約5%、毎時200万kWの節電が必要となります」
と産業界や各家庭でのさらなる節電を訴えた。
東京電力パワーグリッドの「でんき予報」によると、16時台には電力の供給力が4641万kWだったのに対して、実績値が4359万kWと供給量に対して需要が下回った。
3月22日の電力需給実績。供給力の不足を揚水発電でまかなっている状況が続いている。
東京電力パワーグリッド
しかし、東京電力が発表した需給状況によると、午前8時頃から揚水発電がなければ需要をカバーしきれない状況が続いている。16時段階で揚水発電の発電可能量は49%にまで低下していることから、需要ピークの18時〜19時以降の停電リスクを回避するためにも、引き続き節電が求められている。
(文・三ツ村崇志)