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仮想通貨市場は、ビットコインが6万9000ドル(約828万円、1ドル=120円換算)、イーサリアムが4800ドル(約57万6000円)に達した2021年11月の高値から大幅に下落した。
3月31日現在、ビットコインは4万7100ドル(約565万円)前後、イーサリアムは3300ドル(約39万円)前後で、多くの投資家は、価格が下がるところまで下がって再び上昇に転じたのか、それともそろそろもう一段の下げがあるのか、気になるところだろう。
確実な答えは誰も持ち合わせていない。しかし、他のほとんどのコインは高値から50%超下落しており、ディスカウントで資産を購入することは、多くの人にとって魅力的だ。
今こそ投資ポートフォリオに仮想通貨を加えたいとは考えるものの、コインの購入や運用の方法がよく分からない、あるいは単に気が進まないという人は、証券口座を通じた仮想通貨の購入が向いているかもしれない。
今日、アメリカでは仮想通貨に投資する上場投資信託(ETF)は数多く存在しており、株式と同様に売買できる(編注:2022年3月31日現在、仮想通貨ETFを日本国内で取り扱っている取引所はまだない)。
なお、ETFとは特定のアセットやアセットのインデックスに連動して価格が決まる投資商品で、企業が株式(シェア)を発行するように、一定の口数の「シェア」を発行する。ETFには以前から、S&P500やFTSE100といった主要株式指数に連動するものもある。
オンライン証券会社フリーダム・ファイナンス・ヨーロッパ(Freedom Finance Europe)の投資アドバイス責任者であるマキシム・マントゥロフ(Maxim Manturov)は、「仮想通貨は多くの投資家の注目を集め続けており、デジタル通貨に対する需要は前年比で大幅に増加しています」と指摘し、次のように続ける。
「この流れの中で、人気株の購入と同じようにビットコインへの投資を容易にするETFは、投資家の間で人気が急上昇しています。その上、高収益の仮想通貨を自分で選ばなくても、ETFはさまざまな仮想通貨のバスケットへのエクスポージャーを提供し、仮想通貨へのアクセスを容易にしています」
一般的なETFと同様に、仮想通貨ETFはインデックスや資産バスケットと連動するのではなく、1つまたは複数の仮想通貨の価格に連動する。そのため投資家は、ビットコインの不安定な価格変動にさらされることなく、ビットコインの仕組みを学ぶことができる。
「多くの投資家は、仮想通貨ETFが比較的少ない労力でもたらすメリットに関心を寄せています。それが取引の柔軟性であれ、ポートフォリオの多様化であれ、所有コストの低減であれ、ETFはビットコインへのエクスポージャーを得るためのシンプルで簡単な方法です」とマントゥロフは述べる。
以下では、ブロックチェーン関連ETFの中でもマントゥロフが特に有望と考える商品を3つピックアップし、解説してもらった。
ザ・サイレン・ナスダック・ネクスジェン・エコノミーETF(ティッカー名:BLCN)
「ザ・サイレン・ナスダック・ネクスジェン・エコノミーETF(The Siren Nasdaq NexGen Economy ETF)は、ブロックチェーン技術に注目したETFの草分けです。運用資産残高が1億4250万ポンド(約228億円、1ポンド=160円換算)のこのファンドは、ブロックチェーン開発に取り組む複数のグローバル企業から構成されるインデックスに連動しています。インデックス委員会はあまりアクティブに構成銘柄を入れ替えませんが、銘柄の選定に幅広い権限を持っています」とマントゥロフは言う。
「主な評価基準は、ブロックチェーン技術の研究、開発、サポート、利用拡大にどの程度の物的資源を投入しているか、です。分散型台帳技術であるブロックチェーンは、今後の経済取引において中心的な役割を果たすと思われます。
最近の市場の調整による値下がりを考えると、BLCNは27.3ポンド(約4368円)の抵抗線を破った後、興味深い買い場となります。34.95ポンド(約5592円)に向かう可能性があり、その場合の値上がり率は28.0%となります」
アンプリファイ・トランスフォーメーショナル・データ・シェアリングETF(BLOK)
「アンプリファイ・トランスフォーメーショナル・データ・シェアリングETF(Amplify Transformational Data Sharing ETF)は、主に世界のブロックチェーンに特化した銘柄で構成されるアクティブ運用のポートフォリオです。
運用資産残高は6億7160万ポンド(約1074億5600万円)で、主にブロックチェーン技術に焦点を当て、“変革的データ共有技術”と呼ばれるものを開発または使用している企業への投資を目指しています」とマントゥロフは言う。
「ビットコインを動かす技術であるブロックチェーンは、ビジネス環境における取引記録や資産の追跡を容易にする分散型ピア・ツー・ピア台帳技術です。急成長しているブロックチェーンのエコシステムは、アプリケーションの数が多いため、さまざまな業界を巻き込み、その環境は急速に変化しています。
この比較的若い市場は、ユーザー数が増加し、開発者がいわゆる新しいインターネットを作り続けているため、大きな成長の可能性を秘めています。24.2ポンド(約3872円)の抵抗線を突破すれば、32.52ポンド(約5203円)に向けて価格水準の上昇が見込まれ、34.4%の値上げ率になるでしょう」
プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF(BITO)
「プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF(ProShares Bitcoin Strategy ETF)は、ETFのシェルでビットコイン(BTC)の値動きへのアクセスを可能にするファンドです。このファンドは、ビットコインに直接投資するのではなく、ビットコインの先物に投資します。したがって、ビットコインの価格と多少の時間差があり得ることを心に留めておくといいでしょう」とマントゥロフは言う。
「ビットコイン先物はコンタンゴ(決済限月の近い「期近物」が「期先物」より安い状態)で取引されており、来月の価格が前月より高いことを意味します。ファンドが満期に近い先物契約を売るたびに、より安い契約を売ってより高い契約を買うことになります。このプロセスはファンドの純資産価値(NAV)に影響するため、現物のビットコイン価格の動きに若干遅行することになります。それでも、このETFは、株式市場の商品を通じてビットコインにアクセスできる最も手頃な方法です。
全体的にビットコインの値動きは最近好調で、需要が高まっています。これを背景に、BITOを買うなら18.5ポンド(約2960円)の抵抗線を破った後のほうが面白いかもしれません。36.3%の成長率が見込まれ、その場合25.22ポンド(約4035円)と高値を更新します」
(翻訳・住本時久、編集・野田翔)