“ドラえもんシティ”誕生の可能性も…ディズニーの住宅進出は大成功で終わるだろう【音声付・入山章栄】

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

あのディズニーが住宅開発プロジェクトを発表しました。一見突飛な分野への進出のように思えますが、その狙いはどこにあるのでしょうか。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:14分36秒)※クリックすると音声が流れます


ディズニーはエンターテインメントの王様

こんにちは、入山章栄です。

いま、僕はフィリピンのマニラにいます。家庭の事情で、これからしばらく東京とマニラを行き来することになったのです。

僕がいるのは、ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)という特に開発の進んだ地区。まるでニューヨークの摩天楼のように高層ビルが立ち並ぶ大都会です。もちろんマニラにはまだ貧困エリアもかなりありますが、少なくともここは別世界です。

なにしろフィリピンは1億人の人口を擁するうえに、平均年齢が若く、しかも英語圏。これからものすごく成長する可能性があると思いました。

余談ですがフィリピンにはメイド文化が残っていて、住み込みのメイドさんが家事一切をやってくれるんですよ。僕はここに来てから、恥ずかしながらコーヒーすら自分で淹れていません。メイドさんの仕事を奪ってしまうのもかえって悪いかと思いまして……。


BIJ編集部・小倉

BIJ編集部・小倉

優雅にお過ごしなんですね。そんな入山先生にお聞きしたいのは、「あのディズニーが住宅開発に進出」というニュースについてです。

今回ディズニーはカリフォルニアのランチョ・ミラージュというところに、一戸建てやコンドミニアムを建ててコミュニティをつくる計画があると発表しました。

ディズニーが住宅開発に乗り出すというのはちょっと意外ですが、このやり方は経営理論的にどういう可能性があるのでしょうか。


僕は、これはまさに正攻法だと思いますよ。

僕はよくアメリカ時代からビジネススクールの授業で “Disney the Entertainment King”というハーバード・ビジネススクールの有名なケースを使います。

ポイントは何かというと、ディズニーは「エンターテインメント・キング」と呼ばれていて、エンターテインメントに関わる領域ならどこにでも進出する。でも進出するからにはシナジーがないといけない。

シナジーを得るということは、自社の重要な経営資源(リソース)を複数事業に展開することだともいえます。例えばある技術を持つ会社なら、その技術を複数の分野で応用できると、多角化する意味があるわけです。

そういう意味では、ディズニーの重要なリソースとは何だと思いますか?

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