2018年11月、ノルウェーのトルガ近郊で行進中のフィンランド軍。
Finnish Defence Forces/Ville Multanen
- フィンランド国民のNATO加盟支持が急増していることが、新しい世論調査で明らかになった。
- この結果は、フィンランドと国境を接するロシアがウクライナに侵攻したことを受けたものだ。
- ロシアは、フィンランドがNATOに加盟した場合、「深刻な軍事的・政治的影響」を受けると警告している。
ロシアがウクライナに侵攻した後に行われた、フィンランドの人々を対象にした調査で、過半数がNATO(北大西洋条約機構)への加盟を望んでいることが分かった。
シンクタンク「フィンランド・ビジネス・アンド・ポリシー・フォーラム・エバ」の世論調査によると、フィンランドのNATO加盟を支持する人が60%と、これまでより大幅に増えたことが分かった。エバは2022年3月4日から3月15日の間に、2074人を対象にこの調査を実施した。
フィンランドはロシアと長い国境を接しており、かつてはロシア帝国の一部であった。独立後、1939年にソ連の侵攻を受けたが、反撃して独立を維持した。
フィンランドはその後数十年にわたり、ロシアと西側諸国の間でバランスを保つためにNATOへの加盟を避けてきた。2021年の前回のエヴァ調査の時点では、ほとんどのフィンランド人がその立場を支持していたようで、NATO加盟を支持する人は34%に過ぎなかった。
しかし、ロシアが同じくNATO非加盟国であるウクライナに侵攻したことが変化を促し、NATO加盟への支持はほぼ倍増した。
Evaのリサーチマネージャーであるイルッカ・ハーヴィスト(Ilkka Haavisto)は、この結果について次のように述べている。
「ロシアは、近隣諸国を尊重しないことを示した。ウクライナでの戦争は、フィンランドの領土での防衛戦争の恐ろしさを具体的に示し、NATO諸国が非加盟国を助けるために軍事力を行使できないことを明確にした」
ロシアはすでにフィンランドに警告を発している。
3月初め、ロシア外務省の高官は、フィンランドやその隣国スウェーデンがNATOに加盟しようとすれば、「深刻な軍事的・政治的影響」を受けると述べた。
ロシアのプーチン大統領は、NATOがさらに東に拡大することへの懸念を、ウクライナ侵攻の理由にした。彼は侵略を、NATOの拡大に対する自衛行為に見立てている。
フィンランドのサウリ・ニーニスト(Sauli Niinistö)大統領は3月20日、NATOへの加盟申請は「大きなリスク」を伴うが、同国は安全保障状況を改善する方法を見出したいのだと述べた。
フィンランドのサンナ・マリン(Sanna Marin)首相は3月初め、同国の政治家はNATO加盟について話し合うことになるだろうと述べた。
「我々は迅速に動いているが、この議論は徹底的に行われるだろう」
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)