ランボルギーニのステファン・ウィンケルマンCEO。
Lamborghini
- ランボルギーニは、ガソリン・エンジンの生産をすぐにやめるつもりはない。
- 2027年または2028年の完全電動化の前に、プラグイン・ハイブリッド車を多数発売する予定だ。
- 同社は低排出ガスの合成燃料で、ハイブリッド・スーパーカーが生き残れるかもしれないと考えている。
ランボルギーニが持続可能性の向上と二酸化炭素の排出量削減を目指す必要があることをステファン・ウィンケルマン(Stephan Winkelmann)CEOも分かってはいる。だが、自動車業界の多くが化石燃料から電気自動車(EV)にシフトしても、ランボルギーニが完全電動のスーパーカーを販売する日は、しばらく先になるだろう。
その理由はシンプルだと、ウィンケルマンはInsiderのインタビューで語っている。ランボルギーニと言えば、大きくて、うるさい、パワフルなV10やV12エンジン(そして、アグレッシブなデザインと跳ね上げ式のドア)を誰もが連想する。それを急に変えられる訳がないというのだ。
世界的に排ガス規制が厳しくなり、ランボルギーニも路線変更するつもりではある 。ただし、「力強く燃焼するエンジンを持つというDNA」を損なわない方法で。
EV化については段階を踏み、急がないアプローチを選択する。「この場合、重要なのは、テクノロジーを採用するスピードではなく、最高の1台であることだ」とウィンケルマンは述べた。
ランボルギーニ・ウルス。
Kristen Lee
ランボルギーニが純粋なガソリンエンジン車を販売するのは2022年が最後になる。
2024年までに、同社はプラグイン・ハイブリッドを3モデルを発売し、ラインナップを一新する計画だ。スーパーカーのアベンタドール(Aventador)やウラカン(Huracan)の後継と、人気の高いSUV、ウルス(Urus)のニューモデルだ。ハイブリッドがガソリン車と電気自動車の間だとすると、プラグイン・ハイブリッドは、より大きなバッテリーを搭載し、燃費が良く、電気のみで短距離を走行できる、ハイブリッドとフルEVの中間的な位置にある。
ハイブリッド化は、市場と消費者にとって「受け入れやすくわかりやすい」方法で、環境に優しいランボルギーニになるために極めて重要だとウィンケルマンは述べた。クリーンな電気モーターと大きなガソリン・エンジンを組み合わせで同社は2つの相反する顧客層にアピールすることができる。内燃機関の信奉者である年配の人々と、環境への責任に重きを置く若者たちだ。
「今もなお内燃機関を強く望む世代と、『コンプライアンスの遵守とCO2排出量の削減を』と言う新しい世代がいる」とウィンケルマンは述べた。
「我々はブランドの価値を損なうことのないように、それに対応しなければならない」
ランボルギーニのライバル、フェラーリ(Ferrari)は、すでに2つのプラグイン・ハイブリッド・モデルを販売している。
ランボルギーニは2025年までに、CO2排出量を半減することを目指している。2027年か2028年には、4人乗りで「普段使いできる」自社初のオールEV発売するとウィンケルマンは述べている。同社で最も売れているSUV、ウルスのEVバージョンも発売する予定だ。
だが同社は、完全電動ではなく、ハイブリッドのスーパーカーを維持するチャンスがあると見ている。合成燃料の出現と普及により、内燃エンジンが最小限の有害物排出で動くようになる可能性があるためだ。それが実現しなければ、規制が「確実に電動化へと導いてくれる」だろうとウィンケルマンは述べた。
だがランボルギーニは、一歩ずつ前進している。
[原文:Lamborghini's CEO explains why the company isn't planning an all-electric supercar]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)