紛争地域で取材をする記者(イメージ)。
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- 国境なき記者団(RSF)によると、ロシア軍はジャーナリストたちを拉致し、人質に取っているという。
- 少なくとも2人のジャーナリストが拘束中に拷問されたという。
- ある編集者は、ロシアによるウクライナ侵攻でプーチン大統領を批判した罰として、75歳になる自分の父親が人質に取られたと話している。
国境なき記者団(RSF)によると、ロシア軍はジャーナリストたちを拉致し、人質に取り、拷問をしているという。NPRが報じた。
理不尽なロシアによるウクライナ侵攻に関する事実を報道させないために、記者やその親族が拉致されていると、RSFは付け加えた。
「テレビ塔の砲撃、『Press(報道)』と書かれた車の銃撃に加えて、人質を取ることでロシア当局は軍のプロパガンダと相反する全ての報道を検閲するという自らの意志を示しています」とRSFの東ヨーロッパ・中央アジア部門の責任者ジャンヌ・カブリエ(Jeanne Cavelier)氏は話している。
「こうした威嚇行動をわたしたちは強く非難し、ロシア当局に対し、ジャーナリストを標的にするのをやめるよう求めています。国際法廷の前に、彼らは自らの行動に責任を取らなければなりません」とカブリエ氏は続けた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報道官は3月25日、ウクライナで民間人少なくとも36人が拘束されたことを確認しているとBBC Newsに語った。
標的にされた人々はその「大半」がジャーナリストで、「ウクライナ支持を表明していた」という。
ウクライナの全国ジャーナリスト連合(NUJ)によると、占領下にある南東部のメリトポリ —— 市長が拉致され、その後、解放された —— では4人のジャーナリストが身柄を拘束され、のちに解放されたとBBC Newsは報じている。
メリトポリでは、あるジャーナリストが自身を脅して服従させるために、父親を人質に取られたと話している。
現地紙『Golovna Gazeta Melitopola』とニュースサイト『RIA-Melitopol』の編集者スヴェトラーナ・ザリゼツカヤ(Svetlana Zalizetskaya)氏は、彼女がロシアのウクライナ侵攻を批判した罰として、ロシア軍が75歳になる父親を拉致したと訴えている。
ザリゼツカヤ氏は、自らが投降しない限り、父親が解放されることはないと言われたとフェイスブック(Facebook)に書いている。
他にも、戦場カメラマンでドキュメンタリーを手掛けているマクス・レヴィン(Maks Levin)氏が3月13日以降、消息不明になっているとThe Daily Beastは報じた。
レヴィン氏の同僚のマルキイアン・ルイセイコ(Markiian Lyseiko)氏は、「負傷したか、ロシア軍に捕らわれているかだろう」とフェイスブックに書いている。
ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、レヴィン氏の携帯電話は3月13日朝からつながらない状態になっているという。
「ウクライナ人ジャーナリストのマクス・レヴィン氏の失踪についてわたしたちは深く憂慮しており、彼の所在について情報を持っている場合はすぐに申し出てください」とCPJのヨーロッパ・中央アジアプログラムのコーディネーターであるグルノザ・サイード(Gulnoza Said)氏は話している。
「ロシアによるウクライナ侵攻を取材する中で、あまりにも多くのジャーナリストたちが行方不明になっていて、紛争の全ての当事者は、報道に携わる人間が拉致されるのではないかと恐れることなく、安全に仕事ができるようにすべきです」とサイード氏は続けた。
ウクライナ検察官事務所は先週、ロシア軍による攻撃を取材していたウクライナ人ジャーナリストをロシア側が拉致していると非難した。
Insiderでも以前報じたように、ジャーナリストのビクトリイア・ロシュチナ(Victoriia Roshchyna)氏は6日間拘束された後、ロシアが「自分の命を救ってくれた」と発言する動画を投稿した後に解放された。ロシュチナ氏の勤務先は、この動画が解放の条件だったと主張している。
南部ヘルソンでは、ジャーナリストのオレフ・バトゥーリン(Oleg Baturin)氏が8日間拘束、拷問された後に解放されたとRSFは報告している。また、RSFによると、ラジオ・フランスの関係者(匿名)は9日間拘束され、鉄の棒で殴られ、電気を使って拷問されたという。
Institute of Mass Informationの報告書は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ロシア側はウクライナで148件のジャーナリストやメディアに対する罪を犯してきたと非難している。
(翻訳、編集:山口佳美)