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あなたの部署に新しい社員が入ってきた。あなたは喜んで迎え入れる。あなたとその新入社員の業務内容はほぼ同じだ。新人はたまたま自分より若く、経験も少ないが、きっとチームに大きく貢献してくれるに違いない。
しかしまもなく、あなたが考えを改めるような噂が耳に入り始める——新入社員はあなたよりも多く給料をもらっているというのだ。さて、どうしたものだろう。
大退職時代はこれまでにない人材需要を喚起し、企業は才能ある人材を引きつけるために給与を引き上げている。人材の流動化が進むことは、よりよい職を探す求職者にとってはメリットだが、新入社員と既存社員の間に不均衡を生むリスクもある。
真面目に仕事してくれている社員を昇給もせずないがしろにすると、会社は裏切られたと感じた社員から反感を買いかねない、とキャリアの専門家は指摘する。
だが逆に、もしあなた自身がこのような状況に立たされたら拙速に事を起こさないこと、と専門家たちは言う。
人事コンサルタント兼キャリアコーチのライサ・ラモス(Raisa Ramos)は語る。
「まずは深呼吸をしましょう。給料が絡む話は気が重いものですが、これは結局のところ、初めて会社と面接した時のように、自分の価値を再交渉するということなのですから」
ネガティブな感情が収まったら、自分の本当の市場価値を勝ち取るための行動を慎重に起こそう。キャリアの専門家がアドバイスするステップは次のとおりだ。
上司との面談を設定する
変化を起こすうえで、不満を会社側に伝えることは不可欠だ。上司に面談を申し入れるときは、自分の準備期間を確保しよう。目標は、あなたが昇給に値すると証明することだ。
上司には面談の目的をきちんと伝えるべき、とラモスはアドバイスする。こうすることで、上司も面談の準備ができる。
「比較できる給与を下調べしておくといいですね。自分の業界や分野の給与情報が必ずしも反映されているとは限りませんが、話のとっかかりにはなりますから。いちばん重要なのは、他の社員ではなく、あなた自身について話し合うことです」
あなたの価値を証明する最善の方法は、どんな実績を挙げ、どんな目標を達成したか示すことだ。自分の成果を証明したうえで、この先どんなことをやりたいかを伝えるといい、とラモスは言う。この会社で挑戦したいと思っている野心的目標について話し、会社の成長に貢献するためのあなたなりの構想を詳しく語るのだ。
あなたが最善を尽くしても、上司が昇給(または、少なくともあなたが満足するレベルの条件)を提示できないことも考えられる。それでも会社にとどまる意思があるのなら、有給休暇を増やしてもらうとか、昇進を早める余地を探るなど、交渉することをラモスは勧める。
「これはあくまで交渉です。押し返されることもあるでしょうが、気にする必要はありません。普段のようにプロフェッショナルらしく、敬意を持って、前向きな姿勢でいればいいんです」
コンサルティング会社カルチュラル・ミクソロジー(Cultural Mixology)の創業者であるジェイミー・B・ゲルトゥック(Jamie B. Gelbtuch)は、結果はどうあれこうした話し合いを持つのはいいことだと考えており、次のように話す。
「こうしたプロセスを経験すれば、自分が所属している会社は報酬をどうマネジメントしているのかという貴重なデータが得られます。この情報をもって、会社に残るか、もっと公正に評価してもらえそうな職を探すのか決めればいいわけです」
求職活動を始める
あなた自身が思う自分の市場価値と会社の認識の溝が埋まらなければ辞めたほうがいい、とアドバイスするのは、モンスター(Monster)のキャリア専門家であるヴィッキ・サレーミ(Vicki Salemi)だ。
モヤモヤしながら不満を溜め、会社に認められていると感じられない状態では、以前と同じパフォーマンスを出し続けるのは難しいだろうとサレーミは指摘する。
それに、あなたが同僚より経験豊富なら、それだけ採用市場での価値もあるはずだ。現在のような売り手市場なら、今の仕事を手放してもいいと思えるだけの職は十分に見つかるだろう。サレーミは言う。
「(あなたより経験の浅い社員のほうが多く給料をもらっているなら)それは暗に、会社はあなたに感謝してもいなければ、認めてもいないということ。それに何より、あなたの価値を理解していないということになります」
(編集・常盤亜由子)