多様な視点で社会課題を捉え、インクルーシブな未来を目指すコミュニティ&メディアの「MASHING UP」が社団法人化され、2022年3月24日に設立発表会を開催した。
社団法人になったMASHING UPの理事3氏。左から小木曽麻里氏(SDGインパクトジャパン代表)、遠藤祐子氏(メディアジーン執行役員)、夫馬賢治氏(ニューラルCEO)。
撮影:房野麻子
MASHING UPは2018年、ダイバーシティ、女性のエンパワーメント推進を目的としたカンファレンスとして始まった。参加者とともに考えるフェス型カンファレンス「MASHING UP CONFERENCE」、完全招待制のビジネスカンファレンス「MASHING UP SUMMIT」、そしてオンラインメディアの「MASHING UP」を運営している。
社団法人MASHING UPの代表理事となったメディアジーン執行役員の遠藤祐子氏は「どんな形で情報発信していくべきかを考えていた」という。
代表理事の遠藤祐子氏。
撮影:房野麻子
コロナ禍でもカンファレンスをオンラインに切り替えることで、継続してD&IやESGに関する情報を発信してきた。
撮影:房野麻子
ポーラやパナソニックといった企業や、ハフポストのような他メディアを巻き込みながら活動をしている。
撮影:房野麻子
MASHING UPは当初から「オープン&ポジティブ」を掲げており、カンファレンスには競合メディアの関係者も登壇。また最近は法務省や金融庁等のイベントに遠藤氏が登壇するなど、コラボレートの幅が広がっているという。
「1メディアという括りではなく、独立したプロジェクトとして社会に発信していきたいと思ったのが今回の社団法人設立のきっかけ」と遠藤氏は背景を説明した。
「これまではメディア特有の形があったが、独立性、中立性を高めて、オープン&ポジティブはそのまま、公的機関、民間企業、さまざまなメディア、そして個人とコラボレートし、良いうねりを作っていきたい」と意気込みを語った。
メディアやカンファレンスはこれまでと同様に行っていくが、「影響力の大きいビジネスサイドにアプローチして社会にインパクトを生み出す」べく、企業向けのラーニングプログラムを提供する。
オンラインメディアでの情報発信、カンファレンスなどのイベントに加え、企業向けラーニングコンテンツを新たに提供する。
撮影:房野麻子
アプリでラーニングプログラムを提供しているGrowth X社と協業し、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)やESG(環境・社会・ガバナンス)に関する学習コンテンツを提供するアプリを開発。中小企業から大企業まで、多くの企業に研修などで利用されることを想定している。3月中にベータ版が提供され、7月中に正式ローンチする予定だ。
開発中のD&IとESGに関するラーニングアプリ。MASHING UPの編集部がコンテンツを作成している。「フラットに、オープンに、多数の企業に利用してもらいたい」(遠藤氏)。
撮影:房野麻子
設立発表会では遠藤氏から、社会調査支援機構チキラボによる「ジェンダー公正と組織の関係に関する調査報告」も発表された。
日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位、女性管理職の平均割合も8.9%にとどまっている。
一方、ピースマインド社による調査によると、女性管理職比率の向上が従業員のウェルビーイングにポジティブな影響を与えるという結果も出ている。
MASHING UPアワードを実施し、企業を表彰することでD&Iやジェンダーギャップ解消を促進させる。
撮影:房野麻子
ジェンダー公正の組織に対する影響については、さまざまな報告がされている。女性役員の割合が企業パフォーマンスに影響し、女性役員の人数・割合が大きい企業ほど社会的な評価が高く、財務パフォーマンスにも良い影響が出ているという。なお、少なくとも3人の女性が役員に就任していた場合、こういった関係性が認められているそうだ。
ジェンダー公正は個人にも良い影響を与えると考えられており、ジェンダー平等が大きいほど組織の中での心理的安全性につながり、パフォーマンス向上に貢献しているという結果が出ている。
遠藤氏は、MASHING UPカンファレンスの中でアワードを実施し、2030年までに指導的地位に就く女性を30%に引き上げる「2030 30」の実現や男女間のペイギャップ解消、働く人のウェルビーイング向上などに取り組んでいる企業を表彰すると語った。このアワードで、D&I促進とジェンダーギャップ解消の底上げに寄与したい考えだ。
設立発表会にはカンファレンスに参加している関係者も駆けつけ、一言ずつMASHING UPへの期待を語った。
(文、撮影・房野麻子)