Alaska Airlines
- アラスカ航空は、客室乗務員や空港で働く従業員向けに新たにジェンダーニュートラルな制服を作っている。
- 同社では他にも、全ての従業員がメイクをしたり、イヤリングやピアスを付けたり、マニキュアを塗ることができるよう、身だしなみに関するガイドラインも改訂した。
- 今回の動きは、同社の「厳格な『男性』および『女性』の服装、身だしなみに関するガイドライン」が批判にさらされてから1年も経たないうちにもたらされたものだ。
アラスカ航空は従業員の制服や身だしなみに関するガイドラインを改訂したと発表した。これにより、歴史的に厳格な方針を掲げ続けてきた航空業界で、自分自身を表現する自由が従業員に与えられるという。
同社では3月28日から客室乗務員、ラウンジスタッフ、空港スタッフ向けに新たにジェンダーニュートラルな制服および身だしなみに関するガイドラインを導入した。Insiderが入手した従業員向けの書簡で、同社は靴やメイク、アクセサリー、マニキュアに関するジェンダーニュートラルなルールを含む改訂後のガイドラインについて説明している。
全従業員がイアリングやピアスを付けたり、マニキュアを塗ることができる。
Alaska Airlines
新たなジェンダーニュートラルな制服も準備中で、これは業界初だ。アラスカ航空のダイバーシティ、イクイティ、インクルージョン(DEI)担当の責任者ジェームズ・トーマス(James Thomas)氏は、今回の取り組みは従業員にこれまで以上に個性を発揮してもらうとともに、会社が従業員を気にかけていることを示すものだとInsiderに語った。
「わたしたちはインクルージョンへの取り組みを強化したいと考えています」とトーマス氏は言う。
「そして、それを言葉にするだけでなく、具体的な行動で示していきたいのです」
アラスカ航空では2020年以降、従業員にさらなる柔軟性を与えるために制服に関するガイドラインを改訂してきた。ジェンダーアイデンティティー(性自認)に関係なく、客室乗務員が好きなパンツ、パーカー、その他の制服関連アイテムを注文できるようにしたのもその1つだ。シアトルのファッションデザイナー、ルリー・ヤン(Luly Yang)氏が手掛けた現在の制服は2018年に発表されたものだ。
アラスカ航空の現在の制服。
Alaska Airlines
アラスカ航空をめぐっては、2021年6月にアメリカ自由人権協会が同社の「厳格な『男性』および『女性』の服装、身だしなみに関するガイドライン」がワシントン州の州法に違反しているのではないかとする書簡を同社に送り、批判にさらされた。この法律は、雇用主は性的指向、ジェンダーアイデンティティー、容姿、表現に基づく差別をしてはならないとするものだ。
協会が書簡を送ったのは、アラスカ航空で客室乗務員や教官として働いているノンバイナリーのジャスティン・ウェゼレル(Justin Wetherell)さんが協会に制服に関するガイドラインを変えるのを手伝ってほしいと依頼したのがきっかけだった。
「客室乗務員として働く時は、2つのルールのうちの1つに自分を押し込まざるを得ません。大体、一度に最大4日間です」とウェゼレルさんは2021年、フォーブスに語っていた。
「教官として働く時にしているように、わたしは"プロの服装としての制服"に関するあらゆるルールに従うつもりですが、職場でわたしを排除したり、ミスジェンダー(注:ある人の性別やジェンダーアイデンティティーを不正確に説明すること)につながるようなバイナリー(注:男性か女性かの二択)の制服を強いられたくはありません」
アラスカ航空の広報担当者は当時、「アラスカ航空を誰もが尊重されていると感じられ、帰属感を持つことができ、従業員の多様性を堂々と祝う場所にすべく全力を注いでいます」とした上で、インクルーシブでジェンダーニュートラルな制服づくりに取り組んでいるとフォーブスに語っていた。
Alaska Airlines
男性または女性のどちらか一方の性に特化した制服に関する規定を近年改訂した航空会社は、アラスカ航空だけではない。2021年10月にはウクライナの格安航空会社スカイアップ航空が、女性客室乗務員にハイヒールやペンシルスカートの着用を義務付けることはもうしないと発表した。
2019年には、ヴァージン・アトランティック航空が女性従業員に就業中のメイクを義務付けないと発表している。こうした航空会社の変化は、女性の容姿を過度に重視する伝統的な服装規定からの転換だ。
[原文:Alaska Airlines is creating gender-neutral uniforms for flight attendants and airport staff]
(翻訳、編集:山口佳美)