なぜ、この連載は100回続いたのか。本音を言うと「いつまで続けようかな」と思っていた【音声付・入山章栄】

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:10分22秒)※クリックすると音声が流れます


なぜこの連載が続いたのか

こんにちは、入山章栄です。

なんと今回は連載100回目! いつもご愛読いただいている読者のみなさんに、改めてお礼申し上げます。


※先生への祝賀メッセージ、ご質問などはこちらからどうぞ!


この連載を立ち上げたBusiness Insider Japan編集部の常盤亜由子さんもうれしそうです。


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BIJ編集部・常盤

入山先生、やりました!ついに連載100回達成です。


コツコツやっていたら、いつの間にか100回ですね。連載が始まったのがいつでしたっけ?


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BIJ編集部・常盤

連載開始は2020年の春でした。ところがその直後にコロナで外出自粛になってしまって。

やむを得ずZoomによる取材に切り替えたのですが、それまで誰もオンラインで取材をしたことがなかったので、慣れるまで手探りでした。


いまとなってはコロナのなかった世界が想像できませんが、この連載はZoom取材ができなければ続かなかった気もしますね。


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BIJ編集部・小倉

そうですね。今回も前回に引き続き、入山先生はマニラにいらっしゃいますが、以前だったらこんなときは取材をあきらめていたでしょう。


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BIJ編集部・常盤

やはりコロナ以前と以後とで、私たちの常識がガラッと変わったと実感しますね。


この2年間、常盤さんはいかがでしたか?


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BIJ編集部・常盤

いやもう毎回、どんなネタを振っても必ず打ち返してくださる入山先生の引き出しの多さに驚いてばかりでした。

この連載を読んでいる方からも、「何を聞いても答えてくれる入山先生はすごいですね」とよく言われるんですよ。


ありがとうございます。途中で編集担当がBusiness Insider Japan編集部の小倉宏弥さんにバトンタッチしましたね。


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BIJ編集部・常盤

毎回斬新なタイトルをつけて、小倉カラーを出してくれています。

それにしても、今回100回を迎えてしみじみ思うんですけど、やっぱり何かを長く続けるということは、それもまた1つの能力ですよね。

例えば長く続くビジネスと、短命で終わるビジネスの違いはどこにあるのでしょうか。


なるほど、今日のテーマはそれですね。

まず結論から言うと、僕は何かを始めるとき、「これは長く続けるものか、それとも長く続けなくていいものか」をあらかじめはっきりさせておくことが大事だと思うんですよ。特に仕事ではそうです。

ほとんどの人は、意外なくらいここを決めないんですけど。すなわち、「時間軸の感覚」です。人は「これをやろう」と意思決定したら、それを「いつまで続けるのか」の時間軸を最初に持つのがすごく重要だと思っています。

例えば僕は2~3年前から文化放送で「浜松町Innovation Culture Cafe」、通称「浜カフェ」というラジオ番組を始めました。現在も放送中ですが、実はこの番組を始めるときに「これは長く続けよう」と、最初に決めたんです。

なぜならラジオ番組というのはテレビに比べ、長寿番組が多い。これは長く続けることでリスナーがパーソナリティに親しみを持ったり、その世界観のファンになるからです。

つまり、ある程度時間をかけて番組とリスナーの信頼関係ができるから、そこがコミュニティのようなものになっていくわけですね。特にこの浜カフェという番組は、立ち上げたプロデューサーさんがコミュニティ作りをすごく意識されていました。

だから始めるときに、これは「とにかく続ける」ということを1つのゴールにすると僕のなかで決めました。コミュニティを作りたいのなら、続けないと意味がないわけです。

ラジオ番組が続くためにいちばん大事なこと

「浜カフェ」、最初は2時間番組として実験的に始めたので、半年で終わる予定でした。というのも文化放送では4月から9月にかけてのプロ野球シーズン中は「ライオンズナイター」を放送している。

逆に言うと野球のない10月から3月の半年は、その枠がまるまる空く。そこに毎回実験的な番組を入れるというのが文化放送のやり方でした。すると野球シーズンが始まる4月には自動的に終わってしまうわけですね。

でも僕はたった半年で番組が終わったら、コミュニティができないと思っていた。

なので僕は番組が始まるとき、プロデューサーに「こういう番組をやるなら絶対に長く続けたほうがいいですよ」と言いました。それで半年すぎた後も、幸い若干人気もあったので1時間番組になって続けさせてもらったんですね。

だけどいろんな編成の関係で、続けられるかどうか分からなくなった。でもこのプロジェクトの目的は「続ける」ということだから、何が何でも続けるにはどうすればいいかという発想になります。

そうするとラジオにとって続けるために必要なことは何かというと、もちろんいい番組をつくることも、聴取率も大事だけれど、それが最重要ポイントではないのです。

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