クラウドサービス「pasture」が、外部人材を活用した教育事業ライフイズテックに欠かせない理由

コロナ禍は、日本のビジネスにおける「当たり前」を半ば強制的に変革させてきた。見方によっては、それは「未来を早回しで実現させた」と肯定的に捉えられる面もある。特に、リモートワークの推進、副業人材やフリーランスなど外部人材の活用においては顕著と言える。

経営課題の解決サポート事業を営むサーキュレーションが、外部人材を活用したことのある企業に勤める300名に実施した調査によれば、コロナ禍によって対象企業の8割が「採用方針を変更せざるを得ない状況」になったという。そして、約半数の企業ではフルタイム人材よりも、専門性が高くプロジェクト単位で働ける人材の採用に注力している。フレキシブルに、なおかつ専門性を発揮できる副業人材やフリーランスの活用が、成長ドライバーになると考えられるようになってきたのだ。

一方で、外部人材のマネジメントという別の課題も湧き上がる。契約締結、タスク管理、請求書、支払い書き出しなど、実務以外にも法務や経理を含めた付帯業務が増え、ガバナンスを効かせる必要も出てくる。

これらの課題に対応するサービスが、エン・ジャパンの提供するクラウドサービス「pasture(パスチャー)」だ。下請法や電子帳簿保存法、インボイス制度などの法律にも対応し、日本の商習慣を踏まえた設計になっており、業務効率の改善に役立っている。

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今回は、外部人材マネジメントとガバナンス強化を主題に、pastureを導入したライフイズテックに話を聞いた。同社は2011年に中学生・高校生向けのIT・プログラミング教育サービスからスタートし、現在は教員や自治体向け講座、企業DXの推進などスクール事業や教材事業を手掛けている。この分野では先駆的な企業として、国内最大級の実績を誇る。

プログラミング教室事業だけでも100名以上のメンター(講師)を抱えるというライフイズテックでは、pastureを導入することで副次的な効果も含め、得られるものが多かったという。教材作成に当たって、外部人材とのディレクションを担う松岡俊哉氏、事務方として業務委託の発注・請求を取りまとめる村松愛子氏に、導入までの経緯や所感を聞いた。

「外部人材を一元管理できるシステムを求めていた」

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プログラミング教育にビッグウェーブが来ている。2020年に小学校、2021年に中学校、2022年に高校の指導要領が改定。特に、高校の改定における「情報Ⅰ」という科目の新設は、2025年の大学共通テストの必須科目となっていることと合わせて大きな目玉となっている。しかし、学校教育の現場で働く教員自身にプログラミング教育を受けてきた経験は乏しく、対応の難しさが課題だった。

ライフイズテックでは2年前より改訂を見越し、既存の「ITキャンプ・ITスクール」事業に加えて、教員向けの講座開講や教材制作にも注力してきた。また、必修化を踏まえた中学生・高校生が学びを深めたければ、「ITキャンプ・ITスクール」は受け皿の一つとなるだろう。しかし、事業拡大に際しては、開講すべきコースの多さ、コースの統括者や教材制作者の確保、それらの管理という課題もあった。

松岡俊哉(まつおか・としや)氏

松岡俊哉(まつおか・としや)氏/ライフイズテック サービス開発部 カリキュラムグループ 教材開発担当。

「iPhoneアプリコース、Androidアプリコース、Webデザインコースなどの13コースに対して、教材制作のカリキュラムグループは社員を含めた8人で主に対応しています。教材制作者やコースの統括者には大学生時代からライフイズテックにメンターとして関わり、卒業後も副業として携わってくれる外部人材の方たちが各コースにいます。総勢で100〜150人規模の人材が関わる事業ですから、マネジメントやタスク管理は常により良い方法を探っていました」(松岡氏)


「バックオフィス全体を見る立場として、弊社はガバナンスの観点から体制を再構築すべき時期に差し掛かっていました。また、外部人材を一元管理できるシステムがなく、日々の業務が現場担当に依存していた問題がありました。検討する中で、会計システムのfreeeといった外部サービスとの連携も決め手になり、pastureの導入に至ったのです」(村松氏)

ITリテラシーを問わず、使いやすい画面設計

ライフイズテックでは2018年頃より、教材の改修やリッチ化を図る上でも、外部人材の積極的な活用を進めてきた。例えば教材に用いるアニメーションや背景画の制作をイラストレーターに発注するケースもある。講師や教材を取り巻く要素にも外部人材が携わり始めると「アナログな管理をし続けるのは難しい」と村松氏は感じたと話す。事業拡大で社員もアルバイトの大学生も増えていた。

フリーランスや副業人材の管理では下請法の遵守もポイントになってきます。また、以前まで使っていたシステムでは、受発注だけ、会計だけ、といった各領域ごとに業務改善はできたものの、それらを連携させるためには別途マニュアルによる作業が必要でした。システムが分かれれば、マスターデータの管理工数も余計にかかってしまいます」(村松氏)

公正な取引や下請法を考える

pastureは下請法に関する疑問や悩みを解決する特設サイトを開設している

白羽の矢が立ったのがpastureだった。各サービスのデータ連携も容易。発注データが請求データに紐づくために手入力が不要で、ミスや差し戻しのない発注・請求業務が叶った。契約から請求・支払いまでの一連の作業をpasture上で完結することで、効率も上がったという。また、多くの外部人材が関わるからこそ、画面設計の簡潔さも重要だった。

「外部人材と一口に言えど、ITリテラシーはまちまちです。長くフリーランスでエンジニアをされている方ならば業務フローもすぐ理解できますが、卒業後すぐにフリーランスになったり、社会人経験が浅かったりする副業人材もいます。彼らにガバナンスの理解を求めるのは難しい面がありました」(村松氏)

“餅は餅屋”ではないが、ライフイズテックでは普段から教材を作成する松岡氏らが操作マニュアルをつくり、誰でも使えるように整備したという。

「ただ、マニュアルはあくまでサポートですね。pastureは基本的に、決められた手順でボタンを押していけば、タスク管理や請求書作成といった業務がスムーズに進んでいく設計です。関わる人数が増え、経験値もまちまちな状態で導入した割には、現在に至ってもスムーズに運営できているように感じています。特に、タスク管理に加えて、請求書もpasture上で一貫して作れるのは、請求書発行に不慣れな外部人材からは好評です」(松岡氏)

本業へ充てる時間が増えた

ライフイズテックでは、月初に教材制作者にタスクを一定で割り振り、月末に請求フローで回収するという業務フローを構築している。請求のリマインドには連絡・コミュニケーションツールとして使うSlackのbotを用いて、抜け漏れを防いでいる。

タスクを立てる段階で、ポジションごとに割り振る時間幅と、時給単価を掛け合わせることで、教材制作者あたりの必要予算も見えやすくなった。スクール事業など包括的な業務に関しても「月ごとにソートをかけることで経費集計や確認もしやすい」と松岡氏。作業効率が上がったことで、本来の主業務である教材制作に充てる時間も増やせていると話す。

バックオフィス全体を見る村松氏が、pastureを導入した副次的な効果として挙げるのが、契約状態や実績をスムーズに確認できることだ。外部人材と「いつ、どのような内容で契約を交わしたのか」を一元管理できるほか、実績から単価などの確認も簡単だ。pastureはこのような活用を「タレントマネジメント」と呼ぶが、過去の取引履歴や評価をもとに、プロジェクトに応じた最適なアサインも可能になってくる。

村松愛子(むらまつ・あいこ)氏

村松愛子(むらまつ・あいこ)氏/ライフイズテック コーポレート部マネージャー。

「経理としては、年末に源泉徴収票や支払調書の発行作業にかなりの時間を要していたのですが、こちらも簡便に発行できるようになり、管理工数が大きく減りました。また、資源管理ができるようになり、請求書の発行漏れなどの確認作業を減らせたことで、外部人材へ報酬を支払うタイミングも、以前より早めることができるようになりました。やはり、フリーランスのみなさんには、1日でも早くお振込みしたい気持ちがありましたから」(村松氏)

さらに、pastureの導入は、社内カルチャーにも変化をもたらした。それまでのライフイズテックには、いわゆる「押印文化」がなく、上長を経由するような承認フローにも曖昧な点があった。しかし、スタートアップの域を超えてさらなる成長を目指していくフェーズとなれば、ガバナンスの強化は欠かせなくなる。

「検収作業の流れはややもすれば複雑になり、現場では対応しきれない可能性がありました。pastureではボタンを押す仕組みだけで検収を済ませられるため、現段階で、誰が、どのような作業をするべきかが明確になります。押印文化のなかった弊社でも、pastureを通じて無理なくその必要性を共有でき、ガバナンス強化に役立っていると感じます」(村松氏)

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日本の新たな「働き方」を支えるサービス

万能ツールに映るpastureにも、改善点はまだあるようだ。例えば外部人材が増えることを前提とし、パートナーの一覧と契約状況が一括でみれた方が良いという改善点はあると村松氏。これに対しpastureは、改善点は要望を抽象化し、より価値が高まるアップデートとして開発していく方針だ。

また、国内の商習慣に合わせたきめ細かな対応が可能なのは、国産サービスゆえの強みだろう。

「教育現場ではプログラミングが必修化され、2025年からは大学入学共通テストに『情報』の科目が加わることも決定しました。教育と情報の関連がより深くなる中で、ライフイズテックは、既存事業に止まらず、日本全体のIT人材の育成まで視野を広げたプロダクトを今後も作っていきたいです」(松岡氏)

メンターやクリエーターといった外部人材を活用し、教育×ITという領域でチャレンジを続けるライフイズテックは、まさにここからが追い風。それに乗る前に、pastureによって外部との連携やガバナンスの強化を実施できたのは、成長速度を落とさないための良い投資だったはずだ。

今後も日本中で進む、外部人材の活用。「いかなる人材を登用すべきか」や「いかにして登用されるか」に興味が集まりがちだが、それらを適切に管理、運営するマネジメント体制の構築も欠かせない。pastureのようなサービスは、まさに日本の新たな「働き方」を影から支え続けていくのだろう。


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