大破したロシア軍の戦車(2022年3月30日、トロスティアネツ)。
REUTERS/Thomas Peter
- ロシアでは、ウクライナで死亡した兵士の遺族がその事実を伏せるよう言われていると、あるロシア人ジャーナリストが明かした。
- 「大騒ぎする必要はないと、彼らは言っています」とジャーナリストはBBCに語った。
- ロシアの国営メディアはウクライナ侵攻に関するニュースを厳しく検閲し、軍事侵攻がうまくいっているように見せている。
ロシアでは、ウクライナで死亡した兵士の遺族はその事実を伏せるよう、新聞は死者数を報じないよう指示されていると、ロシア人ジャーナリストが明かした。
「全ての現地メディアは、ウクライナでの死者に関するデータを一切報じないよう地域政府から指示されています」とシベリア地域で仕事をしているジャーナリストはBBC Worldの特派員オルガ・イフシナ(Olga Ivshina)氏に語った。
イフシナ氏によると、「当局が遺族に圧力をかけ、黙っているよう命じることもあります」とジャーナリストは話している。
「今は大騒ぎする必要はないと、彼らは言っています。あなたの息子を追悼する手立ては後で見つける、と」
ロシアはウクライナに対する軍事侵攻でどれだけの数の兵士が犠牲になったのか何週間も公表してこなかったが、3月25日、これまでに1351人が死亡したと明らかにした。
ただ、この数字はウクライナ側が公表しているものよりも大幅に少ない。北大西洋条約機構(NATO)では、7000~1万5000人が死亡したと見ているという。
イフシナ氏によると、死亡した兵士の数を報じるロシア人ジャーナリストも標的にされている。
「ロシアでは死亡した兵士の数を報じる現地ジャーナリストに対する圧力が増している形跡があります。軍事活動中に死亡した兵士に関する初期報道の一部は削除されました。こうしたことは1日、2日で起きることもあれば、数時間以内に起きることもあります」と同氏はツイートしている。
ウクライナのベレシチュク副首相は先日、ロシア側が消息不明になっているロシア兵のリストをウクライナ側に提供することを拒否しているため、遺体を返すことができないと述べたと、ガーディアンは報じた。
「ロシア当局は遺体を引き取りたくないようだ」と副首相は語ったという。
ロシアはウクライナ紛争でどれだけの兵士が命を落としたのか、本当の数字を隠すために、移動式の遺体焼却炉を使っているとも糾弾されている。
「彼らは自分たちのためにこうした遺体焼却炉を運んでいる」とウクライナのゼレンスキー大統領は3月上旬に語った(ただ、証拠は示していない)。
ロシアの国営メディアはウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と呼び、それがうまくいっているように見せていて、戦争に関する報道は厳しく検閲されている。
ただ、従わないジャーナリストもいる。
ロシアの政府系テレビ「第1チャンネル」の職員マリーナ・オフシャンニコワ氏は3月中旬、生放送中のニュース番組で「戦争反対」のメッセージを掲げた。オフシャンニコワ氏の同僚ジャンナ・アガラコワ氏も22日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて辞職している。
(翻訳、編集:山口佳美)