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- 30年間にわたる食事とライフスタイルの調査に11万人以上の医療専門家が参加した。
- アボカドを週に1個食べている人は、食べていない人に比べて心臓病のリスクが低かった。
- アボカドは健康的な脂肪、食物繊維、抗酸化物質の供給源として広く知られている。
アボカドを食べる人はこの脂肪分の多い果物を食べない人に比べて心臓の健康状態が優れている。
2022年3月29日にアメリカ心臓協会が発行するJournal of the American Heart Associationに発表された研究でそのことが明らかになった。アメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受けたこの研究は、アボカドと心臓の健康に関してこれまでで最も包括的なものだ。
ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院の研究者らは、11万人以上の医療専門家を30年間にわたって調査したデータを精査した。参加者たちは1986年から2年ごとに生活習慣と健康に関するアンケートに回答しており、2011年に最初の研究結果が発表された。
それ以降、研究者はこのデータを用いて、特定のライフスタイルと健康要因の関連性を検証し続けている。今回の分析は、健康的な脂肪や食物繊維を含むことで知られるアボカドに注目したものだ。
その結果、アボカドをまったく食べない人やほとんど食べない人に比べ、週に2食以上(約1個のアボカドに相当)食べる人は、心血管疾患のリスクが16%、冠動脈心疾患のリスクが21%低いことが分かった。
心臓の健康のためにバター、ベーコン、チーズをアボカドに置き換える
この調査では、アボカドの摂取量や摂取頻度、また他の食品についても同様の質問をしている。
データから、研究者たちはバターやチーズ、ベーコンなどの動物性脂肪を半量でもアボカドに置き換えると心臓病や心不全のリスクが有意に低くなるとしている。しかしながら、植物油やナッツ類に代えてアボカドを用いても、さらなる健康につながるわけではないという。
アボカドは他の脂肪を多く含む食品に比べ、一価不飽和脂肪酸を多く含んでおり、悪玉コレステロールを低下させることで心臓の健康に有益であることが証明されている。また、アボカドには冠動脈疾患のリスク低減に関連するマグネシウムが豊富に含まれている。
アボカドに含まれるヘルシーな脂肪と食物繊維は満腹感を長く保つため、地中海式ダイエットや脂肪に重点を置いた食事にもよく利用されている。
アボカドはすべての人に手が届くものではない
研究者らは今回の調査結果の限界についていくつか指摘している。調査対象となった医療従事者のほとんどは白人であり、自己申告による食事情報には常に何らかのバイアスがかかっている。さらにこの研究は観察的なものであるため、アボカドと心臓の健康との因果関係を証明することはできない。それでも、アメリカ心臓協会はアボカドを他の果物や野菜とともに、健康的な食生活の重要な一部だとして推奨している。
「日常的に健康的な食生活を送るために、1つの食品が解決策になることはないが、この研究ではアボカドには健康上の利点がある可能性を示している」とアメリカ心臓協会で疫学・予防部会の会長を務めるシェリル・アンダーソン(Cheryl Anderson)はプレスリリースで述べている。
アンダーソンは調査には参加していないが、アボカドは 「人気があり、身近で、望ましく、食事に取り入れやすい」と付け加えている。
しかし、この果物はしばしば軋轢を生むアメリカとメキシコの貿易関係の中心にあり、アメリカでの需要が高まるにつれ、アボカドの価格は上昇し続けている。また、アボカドを栽培する際の環境負荷の大きさを考えると、このような健康に良いというものにはそれなりの代償を伴うものなのだろう。
[原文:Eating 1 avocado a week reduces your risk of heart disease, study finds]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)