世界最大の旅客機エアバスA380、食用油から作った燃料で試験飛行

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

エアバスA380 MSN1。

Airbus

  • エアバスは、サステナブルな航空燃料100%を使用したA380の初飛行を行った。
  • 同社は、SAF(持続可能な航空燃料)を使った飛行をA350とA319neoで実施しており、2035年までに世界初のゼロエミッション・ジェット機を導入する意向だ。
  • 同社は同じA380の水素燃焼エンジン搭載機を発表したばかりだ。

航空輸送行動グループ(ATAG)のデータによると、航空業界は世界の二酸化炭素排出量の約2%を占めている。航空会社や航空機メーカーは2050年までのネットゼロ化を目指し、二酸化炭素排出量を削減する方法を模索している

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

DG Stock/Stutterstock

出典:Air Transport Action Group


その野心的な目標の実現には革新的な技術が必要で、SAF(持続可能な航空燃料)が航空会社や航空機メーカーの間で注目されている

ユナイテッド航空の機体にSAFを補給する様子。

ユナイテッド航空の機体にSAFを補給する様子。

United Airlines

出典:Airbus


ユナイテッド航空は2021年12月、エンジン1基にSAFを100%積み、乗客を乗せた世界初のフライトを行った。二酸化炭素排出量は、従来のジェット燃料に比べて約75%減少した

ユナイテッド航空のSAFでの初フライト

United Airlines

出典:United Airlines, United Airlines just became the first airline in history to operate a passenger flight using 100% sustainable aviation fuel


そしてエアバスは現在、食用油などの廃油から作ったバイオ燃料を100%使用した、スーパージャンボジェットA380の初試験飛行の準備を行っている。同社は2035年までに世界初のゼロエミッション航空機を導入する予定だ

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

エアバスA380 MSN1。

Airbus

出典:Airbus


エアバスのA380 MSN1は3月25日、フランスのトゥールーズ・ブラニャック空港を離陸し、3時間のフライトを行って同空港に戻った。同機のロールス・ロイス・トレント900エンジン1基はフライト中、SAFを100%使用した

エアバスのロールス・ロイス・トレント900エンジン。

ロールス・ロイス・トレント900エンジン。

Gideon Mendel/Corbis via Getty Images

出典:Airbus


A380を使用した2回目の試験飛行が3月29日に行われ、SAFによる離着陸性能が観察された。飛行機はトゥールーズからニースまで、2時間30分飛行した

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

Courtesy of FlightAware.com

出典:FlightAware, Airbus


フランスのノルマンディで製造された約27トンの燃料は、フランスの石油・ガス会社のTotalEnergiesからエアバスに供給された。エアバスによると、SAFは芳香族化合物や硫黄を含まないHEFAから製造された

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

TotalEnergies

出典:Airbus


「今回の試験飛行は我々の要求する条件をすべて満たしたので、特定のエンジン操作を必要とする次の段階に進むことができる」と、エアバスのテストパイロットであるウルフギャング・アブスマイヤー(Wolfgang Absmeier)は述べた

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

Airbus

出典:Airbus


A380はエアバスがここ1年間で100%SAFの試験飛行を行った3機目の航空機だ。1機目は2021年3月に試験を行ったA350で…

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

Airbus

出典:Airbus


…2機目は2021年10月に試験飛行を行ったA319neoだ

SAFでのフライトに向けて、燃料を積んでいるA319ネオ。

SAFでのフライトに向けて、燃料を積んでいるA319neo。

Airbus

出典:Airbus


エアバスによると、SAFはATAGのWaypoint 2050報告書で示されたように、二酸化炭素排出量削減量の53%から71%に貢献できるという

A319ネオによるSAFの試験飛行。

A319neoによるSAFの試験飛行。

Airbus

出典:ATAG, Airbus


現在、エアバスのすべての飛行機は、従来のジェット燃料にSAFを50%混ぜた状態で運航可能だが、同社は2030年までにそれを100%に引き上げたい考えだ

エアバス、A380を食用油から作った燃料で運行

Airbus

出典:Airbus


今回のA380の試験飛行は、2月にゼロ・エミッション機「ZEROe」を発表した直後に行われた。同社は同じA380を水素燃焼技術の試験機にもする計画だ

エアバスのA380ZEROe。

エアバスのA380ZEROe。

Airbus

出典:Airbus has chosen its A380 superjumbo jet to test a hydrogen-powered engine it hopes will fuel future zero-emission aircraft


エアバスはCFMインターナショナルと提携して水素燃焼エンジンを製造し、MSN1を使って地上試験と試験飛行を行う計画だ

エアバスZEROeのターボファンエンジン。

エアバスZEROeのターボファンエンジン。

Airbus

出典:Insider


4つの液体水素タンクは機体後方にあり、水素エンジンが機体の外に取り付けられる。エンジンはゼネラル・エレクトリックのパスポート・ターボファン・エンジンを使用する

エアバスA380ZEROeのデモ機。

エアバス「ZEROe」の説明図。

Airbus

出典:Insider


タンクは、エアバスが世界初のゼロエミッション商用機を目指す「ZEROe」に使われる。同社はプロペラ機、従来のターボファン、混合翼ターボファンなどの機体を計画している

エアバスA380ZEROe

出典:Insider

[原文:Airbus just flew its mammoth A380 superjumbo jet using fuel made with cooking oil

(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)

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