ロシアの両替所。
Konstantin Zavrazhin/Getty Images
- ロシアによるウクライナ侵攻を受けルーブルが急落する中、ドルやユーロを求めるロシアの人々はブラックマーケットを頼った。
- 軍事侵攻が始まって以来、ソーシャルメディアでは通貨の売買をしたい人向けの情報が大量に飛び交っていた。
- 取引が成立すると、駅やマクドナルドの近くといったさまざまな場所で現金が受け渡しされるという。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ルーブルは急落、資本規制が実施される中、ロシアの人々は自らの預金を守るために米ドルとユーロのブラックマーケットを頼りにしているという。
ロシアの独立系メディア、Mediazonaの最近の報道によると、メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」ではロシアの人々が通貨を売買するために街中で会えるよう手配しているという。
モスクワやサンクトペテルブルク、南部のクバンではこうしたやりとりに2000人以上が関与していて、多くの人が駅やその他の取引場所で会う約束をしていると、Mediazoneは伝えている。
そのレートはさまざまだ。
「2000ドルを(1ドルあたり)132ルーブルで売ります。モスクワ北西部。急ぎで」というメッセージもあれば「200ドルを(1ドルあたり)130ルーブルで売ります。サンクトペテルブルク、地下鉄オゼルキ駅」や「200ユーロを為替価格で売ります。VDNKh(注:モスクワにある全ロシア博覧センターのこと。地下鉄の駅がある)で」というメッセージもあった。
ロシア紙コメルサントによると、SNS上では3月の上旬から中旬にかけて「外貨交換」や「ドル買います」と呼びかけるメッセージが頻繁に飛び交っていたという。
中には「ドルが買えそうな場所」の最新情報があるとうたうチャンネルもあり、ある投稿者はマクドナルドの近くで会って、1ドルあたり150ルーブルでドルを買わないかとオファーしていた。
当局は、ソーシャルメディアやメッセージアプリでの外貨交換は法に触れる恐れがあり、最長で7年、刑務所で過ごすことになる可能性があるとコメルサントの取材に話した。
ただ、こうしたブラックマーケットの出現は、ウクライナ侵攻が始まって間もない頃に見られた銀行ATMでの長い行列のように、ロシアの人々が自らの預金をなんとか守ろうと奔走する中で、ドルやユーロに対する需要が高まっていることを示している。
ルーブルの価値は2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから急落し、一時は1ルーブル1セントを下回った。ロシア政府は外貨の流出を抑えるために、国内居住者を対象に国外への外貨送金を禁止したり、企業に外貨建て収入の80%を売却するよう指示するなど、さまざまな資本規制を実施した。
その後、エネルギー輸出 —— その大部分が西側諸国の制裁を逃れた —— による外貨流入なども手伝って、ルーブルは侵攻前の水準近くまで持ち直している。しかし、トレーダーやアナリストたちは懐疑的だ。
(翻訳、編集:山口佳美)