アンソニー・クロッツ教授。
Mays Business School
- アンソニー・クロッツ教授は「大退職」という言葉の生みの親だとされている。
- フィナンシャル・タイムズのインタビューで彼は、退職率はあと2、3年は高いままだろうと予測している。
- 400万人以上のアメリカ人が仕事を辞めたという月が、2022年2月で連続9カ月になった。
「大退職(Great Resignation)」を予見した心理学者は、今後2、3年は平均以上の割合で労働者の退職が続くと予測している。
アンソニー・クロッツ教授は、フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、この傾向は続くだろうと示唆している。というのも、COVID-19の世界的なパンデミックから2年が経っても、人々はまだ「自分の人生を模索している」からだ。
テキサスA&M大学メイズ・ビジネススクールの教授であるクロッツは、従業員のさまざまな退職方法を調査することに関心を持っていると述べている。彼は2021年2月、ブルームバーグのインタビューで「大退職」という言葉を作ったとされている。
2021年4月、約400万人のアメリカ人が仕事を辞め、それは20年ぶりのことだった。それから2022年2月まで、9カ月連続で月間の退職者数は400万人を超えている。
2022年4月3日のFTに掲載されたインタビューでクロッツは、雇用主が新しい働き方を提示しようと模索する中で職場が著しく変化しており、さらに退職は伝染するように広がりかねないため、「労働市場はしばらくはやや不安定な状態が続くだろう」と指摘している。
彼は「私は組織心理学者であって、経済学者ではないので、労働市場の予測をする立場ではない。もし私が経済学者なら、そんなことをされると腹が立つだろう」とも述べている。
2021年10月、クロッツはInsiderにこう語っている。
「人は死や病気に直面すると、一旦立ち止まって存在理由について問い直すようになることが、組織の研究で明らかになっている。例えば、何が自分に人生の目的や幸福を与えてくれるのか、今のままでいいのか、と。多くの場合、それが人生の転機につながる」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)