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「生理用品を学校に置くと子どもがだらしなくなる」という人に伝えたい、生理の貧困と虐待のリアル

「生理用品を学校に設置すると子どもたちがだらしなくなる。だから設置したくない」。

そんな教育現場の認識を嘆くツイートが注目を集めている。経済的な理由などから生理用品を購入できない「生理の貧困」が社会問題となる一方で、「子どもが甘える」「学校の評判が下がる」ことを理由に、支援を拒む学校関係者がいるのだ。

生理用品の無料配布、方法に課題残る

生理の貧困

生理の貧困が社会課題となる一方、「子どもが甘える」「学校の評判が下がる」と対策を拒む学校関係者もいる。一体なぜか。

提供:一般社団法人JOY

「生理用品を無料設置する事で、子ども達がだらしなくなるから学校に設置したくないと言われました。学校内のトイレに設置する事で、生理用品を持って来なくなる。それは甘えでだらし無いと…開いた口が塞がらない。本気でガッカリしました」

「子ども達が自分でなんでもできるようにすることが教育的な行為であり、それ以外は甘やかしになると言うのであれば、本当に買ってもらえない子ども達の事はどう考えるのか? 設置して、子ども達を見る、考える事が教育なのでは? と私は思います」

こうツイートしたのは、一般社団法人・JOYで代表理事を務める佐々木絵美さんだ。JOYは北海道を拠点に、図書館やショッピングセンター、小中高等学校、大学などで生理用品の無料配布を行っている。

経済的な理由などを背景に生理用品を購入できない「生理の貧困」は、大きな社会課題だ。役所や地域の社会福祉協議会などの公共施設で生理用品を無料配布する自治体も増えているが、そもそも経済的に困窮していると配布先まで公共交通機関で生理用品を取りに行く事自体が困難だ。また、生理用品が必要だと声に出さなくて済むよう窓口で専用のカードの提示を求める自治体もあるが、それも精神的な負担になる。

「学校の評判が下がる」懸念も

生理の貧困

佐々木絵美さん。代表を務めるJOYは商業施設や公共施設、学校に生理用品を無料で配布している。

提供:一般社団法人JOY

学校では保健室に生理用品を置いて必要な生徒が取りに行くようにしたり、担任の教員に申告すれば受け取れるようにしているところも多いが、これにも問題があると佐々木さんは言う。

保健室の先生に『毎回来ているけど、買ったら?』と心無い言葉を言われたり、男性教師には相談しづらいという子どもたちの声を聞いています。そもそも生理の貧困は虐待ネグレクトなど複雑な問題が絡んでいることも多い。『保護者に連絡がいくのではないか? と不安で生理用品を取りに行くことができない』という子どももいるんです」(佐々木さん)

そのためJOYが学校に生理用品を無料配布する際は、気兼ねなく利用できる「トイレ内、できれば個室」に設置するよう学校側に依頼しているという。

冒頭のツイートは、JOYが生理用品を届けている学校の養護教諭からの一言だった。

「生理用品をトイレに置いたことでナプキンを持って来なくなった生徒がいるそうで、『それは甘えだ』と。『社会人になったらこんな“恩恵”は受けられないのだから、今のうちから生理用品を携帯する習慣をつけたほうがいい。それに生理用品を無料で配布する必要があると分かれば学校の評判も下がるのではないか』と心配されていました」(佐々木さん)

トイレットペーパーに置き換えて考えて欲しい

生理の貧困

JOYが学校のトイレに設置した生理用品。さまざまなサイズのナプキンには「家に持ち帰ってもOK」の但し書きが。

提供:一般社団法人JOY

連携先の学校からは一定期間経つと「生理用品がなくなった、補充して欲しい」という連絡がくるのが普通だが、そうした連絡が一切なかったのを不思議に思っていた矢先の出来事だったという。

冒頭の佐々木さんのツイートには、多くの反響が集まった。

「私も今は考え方がガラっと変わったけど、養護教諭の頃は保健室にナプキンを取りに来る生徒に対し『自己管理がなってない』と思っていた。自分も生理用品に困っていた子どもだったのに。無料設置に反対する方は、トイレットペーパーに置き換えて考えてみてほしい。ナプキンがない、って非常事態」

「ネグレクトや貧困で買ってもらえない子もいる。その子が毎回自分だけ保健室に貰いに行かねばならない恥ずかしさ悔しさって想像できないかな?皆がトイレで気軽に手にして使えるようになったら自分も遠慮なく堂々と手に取れるんだよ」

「え、これさ、持って行くのが面倒臭いとかじゃなくて、生理始まってる小学校高学年の子とかはポーチ持ってトイレ行くのキツいんよ…まだ生理きてない子に『もう生理なの』とか言われるとちょっと恥ずかしいしね。置けるなら本当においてほしい。特に小中学校には」

生理ってまじで突然始まるんだよ…予定日より数日ずれていきなり来るの珍しくない。いきなり来る、というのは、トイレで脱いだら血液に濡れたパンツが目に入って驚く、という状況よ。紙で応急処置してから急いでナプキン調達するしか無い。トイレに置いてあればどんなに助かるか。子供なら尚更のこと」

見えない貧困、生理用品は災害備蓄としても重要

生理の貧困

JOYでは生理にまつわる偏見を取り除くため、さまざまな講演活動も行っている。

提供:一般社団法人JOY

厚生労働省が2022年3月に公表した調査によると、コロナ禍以降、生理用品の購入・入手に苦労したことがあると回答した女性は8.1%。その割合は若い年代ほど高く、18歳と19歳で合わせて12.9%、20代では12.7%だった(「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に 関する調査」)。

生理用品の入手に苦労したときは「生理用品の交換頻度を減らす」「トイレットペーパーやティッシュペーパーで代用する」などして対処しているものの、「学業に集中できない」、「学校を遅刻・早退・ 欠席した」という人も。

また生理用品の購入・入手に苦労したことがある人のうち、居住地域で行われている生理用品の無償提供について、制度があるか「分からない」と回答した人は 49.6%にのぼり、トイレに設置することの重要性が浮き彫りになった形だ。

生理の貧困

提供:一般社団法人JOY

佐々木さんは前出の養護教諭は「悪気はないと思う」と前置きした上で言う。

「学校の評判を気にしてか『うちの学校に生理用品で困っている生徒はいません』と言う先生もいるのですが、生理の貧困は外から見えないことも多いんです。友達にナプキンをもらっている子もいれば、生理用品だけを買ってもらえない裕福な家庭の子どももいます。

そもそも学校や大人の都合なんてどうでもいい。子どもが困っていたら助けるのが教育福祉ではないのでしょうか。

生理用品を通じて家庭の個別の問題にアプローチすることもできるのに」(佐々木さん)

ナプキンが設置されていることで学校に安心感を抱いた生徒がネグレクトを教員に打ち明けたこともあるほか、JOYでは生理の貧困でつながった女子生徒に対し、産婦人科医への同行や、ネグレクト家庭への衣服の購入も行っている。

「学校は災害時の避難所になることも多いです。災害時に生理用品は後回しになることも多いため、災害備蓄としての観点からも生理用品を常備しておくことは重要なはず。

生理用品を必要な子どもたちが当たり前に無料で使えるよう、どうか学校関係者には理解を深めて欲しいと思います」(佐々木さん)

(文・竹下郁子

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