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数学で博士号、男社会の開発現場に没入、43歳で自閉症と診断されたアマゾンの女性トップAIエンジニアがいま輝く理由

アマゾン ナレッジエンジニア

アマゾンのスマートアシスタント「アレクサ」開発チームで、プリンシパルナレッジエンジニアとして活躍するベス・ホームズ。

Beth Holmes

ベス・ホームズが人工知能(AI)エンジニアとして初めて民間企業に職を得た2007年当時、ナレッジエンジニアリング(=AIを応用したシステム開発)はまだ比較的新しい領域だった。

「きわめてニッチな領域の仕事なので、事前の知識も経験もありませんでした。採用する側も、誰でもいいから新たな人材が入ってきて勉強してくれたらありがたい、そんな感じだったのです」

イギリスの名門バーミンガム大学で数学の博士号を取得したホームズは、人工知能を扱った実務経験もほとんどないのに、創業数年のスタートアップ、イーヴィ・テクノロジーズにジュニアエンジニアとして採用された。

ナレッジエンジニアリングは人工知能応用の一領域。人間の思考や意思決定プロセスを模倣する(ナレッジベースの)システム構築を通じて、複雑で高度な問題を解決する。

金融、ヘルスケア、カスタマーサービスなどさまざまな業界ですでに利用されているほか、顔認証や音声認識プログラムなどに応用する取り組みも行われている。

ホームが入社したイーヴィは、ある自然言語による質問を解析処理してマシンリーダブルなクエリ(=コンピュータが自動的に読み込める処理命令)に変換し、処理実行を通じて取得された結果データを再び自然言語による回答に戻す技術を手がけていた。

そのうち、アップルのボイスアシスタント「Siri(シリ)」のような同種の技術がブームになるとイーヴィにも白羽の矢が立ち、2012年ごろにアマゾンに買収された。

そんな経緯があって、ホームズはいまSiriのライバルとして知られる「アレクサ(Alexa)」開発チームに所属している。

アマゾンによる買収は彼女にとってマネジメントの幅を広げる良い機会となった。

「イーヴィがアマゾンに買収される前にいちエンジニアからマネージャーに昇進していたのですが、買収後は採用に関する裁量が広がり、チームの陣容を増強することでマネージャーとして大きな成長を実現できました。

アレクサ開発チームのみんなと出会い、一緒に仕事をする機会に恵まれたのも、買収があったからです。アマゾン側としても、自然言語処理を使った質問応答の技術を社内に持っていなかったので、イーヴィの買収を通じてそれを得られたのは大きかったと思います」

「女性とキャリア」のメッセージに疎外感

アマゾンの人事労務データによれば、2020年10月末時点で、同社のホワイトカラー(=事務・技術職、エンジニアも含まれる)における男性の数は女性の2倍以上にのぼる。

いわゆる男社会だが、ホームズはとくにそのことを問題として意識していなかった。

「ある人が『うわ、男ばかりで女はたったひとり(の部署)か』と言うのを聞いて、初めて気づいたんです。自分はみんなと違うジェンダーなんだと。多くの点で他の人たちと違う自分に慣れきってしまっていて、身体的な特徴が異なるというのはもうほとんど意識したこともない点でした」

キャリアも後半に入った43歳で、ホームズは自閉症と診断された。

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