フォーブス誌によると、中国のインスタグラム・キラー「小紅書」の創業者、瞿芳は中国で最も新しい億万長者の1人だ。2021年9月27日、中国の烏鎮で開催されたカンファレンスで。
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- フォーブスの最新版「世界の長者番付」に新たに追加された236人のうち、62人が中国人だった。
- 新しい中国の億万長者のほぼ3分の1がテック業界の人物だ。
- 中国経済の減速とテック企業の徹底的な取り締まりは、億万長者に重くのしかかっている。
中国は2021年、世界のどの経済圏よりも多くの億万長者を生み出した。
雑誌『フォーブス(Forbes)』が4月5日に発表した2022年版「世界の長者番付(Forbes' annual World's Billionaires' List)」によると、236人の億万長者が新たに誕生している。そのうち62人が中国の出身者だった。
そして、中国政府のテック業界に対する徹底的な取り締まりにもかかわらず、同国の新しい億万長者のほぼ3分の1をテック業界の人物が占めた。
人工知能企業センスタイム(SenseTime)を築いた香港在住の湯暁鴎(Tang Xiao'ou)の純資産は57億ドル(約7047億円)、アパレル通販SHEINの創業者である許仰天(Chris Xu)の純資産は54億ドル(約6676億円)、中国のインスタグラム(Instagram)キラー、小紅書の創業者、瞿芳(Miranda Qu)と毛文超(Charlwin Mao)の純資産はそれぞれ18億ドル(2225億円)で、彼らはテック業界からの億万長者の新規参入者だ。
アメリカは新たに50人の億万長者を輩出して第2位となり、一方、インドは29人の億万長者を出して第3位となった。フォーブスのランキングは2022年3月11日時点の株価と為替レートを基に算出された億万長者の純資産に基づいている。
中国は2021年、新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大する中、さまざまなロックダウンを実施した。これらの規制は製造業や世界のサプライチェーンに影響を与え、その結果、中国は経済の減速を経験した。一部のエコノミストたちが2022年に初めに中国の景気減速が悪化したと警鐘を鳴らしているとブルームバーグ(Bloomberg)は報じている。
その一方で、中国政府は自国のテック業界を容赦なく取り締まっている。この1年間、同政府はテック業界の労働問題や消費者の権利問題を取り上げ、テック企業に対する独占禁止法の調査を開始し、データセキュリティに対する監視を強化してきた。その結果、「多くの投資家がパニックに陥っている」と専門家はInsiderに話している。ハンセンテック指数が、直近のピークである2021年2月から、2022年4月第1週始めには60%近く下落したとブルームバーグは報じている。
こうした圧力は、多くの億万長者の純資産を削り取っていった。
中国第2位の富豪でTikTokの親会社バイトダンス(ByteDance)の創業者、張一鳴(Zhang Yiming)は、その資産を2021年の594億ドル(約7兆3400億円)から500億ドル(約6兆1850億円)に減らした。中国第3位の富豪でテンセントの創業者、馬化騰(Pony Ma)の資産は2021年の491億ドル(約7兆3400億円)から372億ドル(約4兆6000億円)に減少した。
中国最大の飲料会社、農夫山泉(Nongfu Spring) の会長兼創業者の鍾睒睒 (Zhong Shanshan)は純資産657億ドル(約8兆1250億円)で中国一の富豪の座を維持している。
[原文:China minted 62 billionaires last year, more than any other country]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)