マット・フレイザーは、クロスフィット・ゲームズで5連覇を達成した。
Buttery Bros/Resurgence
- マット・フレイザーは、2016年から2020年までクロスフィット・ゲームズで5連覇を達成し「地球で最も強健な男」の称号を獲得した。
- 引退したフレイザーは、クロスフィットアスリートのエリートに指導を始め、自身のトレーニングアプリも作成した。
- 健康を手に入れるためにマスターすべき動作のNo.1はスクワットだと、彼はInsiderに語った。
マット・フレイザー(Mat Fraser)は、2016年から2020年までクロスフィット・ゲームズで5連覇を達成し「地球で最も強健な男」の称号を獲得した。2021年2月、フレイザーはクロスフィット競技からは引退したが、だからといって彼はトレーニングのペースを落としたわけではない。
フレイザーは、これまで以上に多忙な日々を送っているとInsiderに語った。自身のフィットネスを維持するだけでなく、新しいワークアウトアプリ「HWPO Training」を通じて、クロスフィットのエリートたち(2021年のチャンピオンのJustin Medeirosや新星Mal O'Brienなど)や一般の人々をトレーニングしているのだ。
HWPOとは「Hard Work Pays Off(努力は報われる)」の略で、フレイザーはこれを自らの信条としている。
クロスフィットでは、さまざまな種目をこなすことが求められるが、健康や体力づくり、減量、筋肉増強のいずれにおいても、スクワットをマスターすることが重要だとフレイザーは言う。
スクワットは健康づくりと体力向上に最高の種目
クロスフィットや筋力トレーニングの初心者にとって、まずはテクニックを身につけることが重要だとフレイザーは言う。
「重いバーベルを上げたり、高度な技術を必要とする動作に、早い段階で挑戦するのはやめた方がいい」と彼は言う。
「他の人が楽しくて魅力的なことをやっているのを見ると、最初のうちはもどかしいかもしれない。だが、下準備をしてしっかりとした土台を築くことは、その後の競技人生において、大きな財産になるだろう」
フレイザーは、強健な体を手に入れたい人にスクワットをマスターすることを勧めている。スクワットは複合運動、つまり複数の筋肉群を使う運動だ。
「適切に行うスクワットは、おそらく生涯にわたってより良い生活や健康な体を手に入れるための最高の動作の1つだろう」彼は言う。特に上半身でウェイトを持ちながら下半身を動かすことは「とても効果がある」という。また、バックスクワット(バーベルを肩に背負って行うスクワット)がきちんとできれば、椅子から立ち上がるときや箱を運ぶときなど、さまざまな動作に応用できるという。
スクワットをする際にやりがちな失敗は、適切な指導を受けず、正しいやり方を学ばないことだとフレイザーは考えている。そのせいで、特に重いウェイトを持ち上げるときなどに怪我をする可能性がある。
フレイザーは筋トレと「ハネムーン」を過ごす
フレイザーはもう競技には出ていないが、週に6日はトレーニングをしており、さらに筋力を鍛えることも楽しんでいるという。
「私は今もトレーニングとハネムーンを過ごしているようなもの」と彼は述べ、いつも息が切れるような動作ではなく、自分のペースで時間をかけて動作をできるところが気に入っていると付け加えた。
クロスフィットアスリートのマル・オブライエン選手(左)を指導するフレイザー(右)。
HWPO
「できなくなるまでを1セットとして繰り返し、セット間は3、4分休むという新しいスタイルのトレーニングが本当に楽しい」とフレイザーは言う。
フレイザーによると、初めの頃は特に目標もなく、モチベーションを保つのに苦労したという。そこで、ベンチプレスやデッドリフトなどで自分に合った目標を設定するようになった。
「私が重視しているのは、一般的な健康づくりやフィットネス、そして楽しい時間を過ごすことだ」
フレイザーは今も、強健な体を維持するために回復を重要視
フレイザーは現役時代、毎日何時間もジムでトレーニングをしていたが、トレーニングと同じくらい回復にも重点を置いていたという。引退後は、回復過程をおろそかにしたため、痛みに悩まされるという失敗をしてしまったこともある。
「私はまだ自分の身体に多くのことを要求しているので、しっかりと回復をしなくてはならない」とフレイザーは語った。現在はフォームローラーやマッサージガンを日課に取り入れ、8時間の睡眠を取ることを目標にしているという。
「これは必ずやらなくてはいけないということではなく、最高レベルのトレーニングにするためにしているに過ぎない。重要なのは、日頃から健やかに過ごしていると感じられることだ」
フレイザーの体重は、引退後もほぼ変わらないが、食事量は以前の3分の1程度だという。
彼は、食事内容はあまり変わっていないが、量が変わった、そしてトレーニングの途中で素早く燃焼させる栄養分としてのスニッカーズバーやグミなどは、もう必要としていないと述べている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)