「戦争を止めて」などと書かれたフェンスの前を歩く女性(2022年3月14日、モスクワ)。
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- ロシアでは、生徒にウクライナはロシアの一部ではないと発言した英語教師が処分された。
- 「まるで皆がある種の狂気に陥ってしまったかのようです」と処分された教師はニューヨーク・タイムズに語った。
- プーチン大統領は3月、ウクライナ侵攻に反対する人々について「社会の自浄作用」を望むと話していた。
ロシアのサハリンで英語教師をしていたマリナ・ダブロワ(Marina Dubrova)さんは、自身が生徒にウクライナとの戦争について話した内容がもとで解雇され、罰金を科せられたと話している。
ダブロワさんは自身が担当する8年生(日本の中学2年生にあたる)のクラスに反戦メッセージが含まれたYouTube動画を見せたと、ニューヨーク・タイムズに語った。
ダブロワさんが生徒たちに「ウクライナは独立した国」だと語ると、1人の女子生徒が「もう違う」と反論したという。
その数日後、学校に警察がやって来て、生徒が録音したと思われるダブロワさんの発言の音声データが法廷で示されたと、同紙は報じている。
ダブロワさんはロシア軍の「名誉を公の場で傷つけた」として約400ドル(約5万円)の罰金を科せられ、「非道徳な行動」を理由に学校を解雇されたと同紙に話した。ロシア人は「まるで皆がある種の狂気に陥ってしまったかのようです」とダブロワさんは話している。
ロシアでは政府が「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナへの軍事侵攻をめぐって、人々が互いを監視し、戦争に反対する人間を通報しているとの報道もある。ただ、そうした動きがどのくらいロシア国内に広がっているかは分からない。
プーチン大統領は3月、戦争に反対したり、西側諸国に同調する人間を一掃するためには、ロシアは社会を浄化しなければならないと示唆した。
「西側諸国はロシア国民の反乱を誘発するために、軍事的な損失や制裁の社会経済的な影響を推測して、我々の社会を分断しようとしている」とプーチン大統領は語った。
「しかし、ロシア人は真の愛国者と裏切り者を見分けることができ、(裏切り者を)吐き出すだろう」と大統領は政府を支持しない人々について言及した。
その上で「社会のこの必要かつ自然な自浄作用は、我々の国、連帯、団結、行動を求めるあらゆる呼びかけに応える覚悟を強固にすると確信している」と付け加えた。
ロシアでは3月上旬の時点で、ウクライナ侵攻に反対する抗議デモの参加者4300人以上が拘束されていた。
(翻訳、編集:山口佳美)